7月9日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開
劇場情報
監督・脚本:マイテ・アルベルディ
日本語字幕:渡邉一治
出演:セルヒオ・チャミー ロムロ・エイトケン
人生初スパイの仕事は、老人ホームへの潜入!
舞台はチリ。80歳以上の高齢男性を募集する新聞の求人広告が探偵事務所から出され、それに応募したのは妻を亡くし新たな生きがいを模索していた83歳のセルヒオ。依頼内容は老人介護施設の内偵。依頼人の母が、この施設で盗難や職員からの虐待にあっているのではないかという疑念を持ち、母の様子を誰にも気づかれずに探ってほしいという依頼。セルヒオは素性を隠し施設に入居する。今までスマホを使ったこともなく、潜入捜査の前に訓練したものの、メールや写真撮影などの電子機器の使い方や、暗号を忘れてしまったりで悪戦苦闘。
入居者と交流し状況を探りやっとターゲットの女性をみつけたが、なかなか手がかりを掴めない。スパイとして入居したが誰からも好かれる心優しいセルヒオは、調査を行う中でいつしか悩み多き入居者たちの良き相談相手となる。この施設や入居者の撮影をするという名目で、別のカメラクルーも参加したドキュメンタリー。
私はてっきりドラマかと思ったらドキュメンタリーだった! でも、よくできたドラマのよう。舞台になった老人ホームの許可を得、スパイとは明かさず3カ月間撮影されたという。
施設には、妄想癖、痴呆症、寝たきりなど様々な人がいる。セルヒオの調査活動を撮影する中で、彼の姿を追ううちに入居者の気持ちが浮かび上がる。親を施設に入れたあと面会に来ない子供たち。家族から捨てられたと感じている人も少なくない。「一生懸命育てたのに、子どもは私を老人ホームに入れて面会にすら来ない」と、孤独感を募らせるおばあちゃんたち。「老人ホームをスパイする」という形をとりながら、ここで暮らす高齢者たちの置かれた状況と思いを撮りたかった。それこそが監督がこの映画に込めたメッセージだったのでは(暁)。
英題『THE MOLE AGENT』
2020年/ドキュメンタリー/チリ・アメリカ・ドイツ・オランダ・スペイン/89分/カラー/ビスタ/5.1ch
『83歳のやさしいスパイ』 公式サイト
配給・宣伝:アンプラグド
2021年07月04日
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