2021年06月27日
スーパーノヴァ 原題:Supernova
監督・脚本:ハリー・マックイーン
出演:コリン・ファース(『英国王のスピーチ』)、スタンリー・トゥッチ(『ラブリーボーン』)
イギリス人でピアニストのサム(コリン・ファース)とアメリカ人の作家タスカー(スタンリー・トゥッチ)は、パートナーとして人生を共に紡いできた。二人は古びたキャンピングカーで旅に出る。最初の目的地はイングランドの湖水地方。20年前、二人が出会った直後に訪れ、愛の告白をした思い出の場所だ。次の目的地はサムの実家。両親亡き後、姉の家族が暮らしている。タスカーは、サムに内緒で懐かしい友人たちを集める。歓談する中で、友人からタスカーがもう文章を書けないと嘆いていると聞かされ驚くサム。そうして、二人は旅の最終目的地であるサムの久しぶりのピアノリサイタルの会場に向かう・・・
実はタスカーは認知症で徐々に記憶を失うことを医師から告げられていて、愛する人のこともわからなくなるような醜態は見せたくないと、まだ記憶のあるうちにフェイドアウトしたいと思っていることが最初のほうで語られます。そんな思いを抱えながら、思い出の地に旅に出たのです。
どんなに愛し合っていても、いつかは死が二人を分かちます。愛する人に人生の終焉が迫っているとわかった時、どう対峙すればいいのでしょう。 寄り添う人のいない私は、さらに空しいですが、そろそろ終活を考えなければいけないことをずっしり感じさせられました。
タイトルの「スーパーノヴァ(超新星)」は、星の進化の最後に起こる巨大な爆発のこと。天文学に造詣の深いタスカーは望遠鏡持参で旅に出て、二人で夜空を見あげます。二人の愛の物語が壮大な宇宙を背景にしていることと共に、タスカーが人生の終焉を目前にして輝きを放つことも込めたタイトルのようです。
美しい湖水地方の風景の中で、人生の重みを考えさせられた映画ですが、二人の会話にはブラックユーモアもたっぷり。タスカーは、カーナビの口調がサッチャー元首相みたいで嫌だというのですが、サムはお構いなしにカーナビをつけます。サッチャーが首相時代、同性愛者を敵視し、教育現場で同性愛に触れることを禁じる法まで制定したことを思うと、実に意味深な会話です。(咲)
2020年/イギリス/カラー/ビスタ/5.1ch/95分
字幕翻訳:西村美須寿
配給:ギャガ
公式サイト:https://gaga.ne.jp/supernova/
★2021年7月1日(木)TOHOシネマズ シャンテ他にて全国順次ロードショー.
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