監督・脚本:横浜聡子
原作:越川オサム「いとみち」新潮文庫
音楽:渡邊琢磨
出演:駒井蓮(相馬いと)、豊川悦司(相馬耕一)、黒川芽以(葛西幸子)、横田真悠(福士智美)、中島歩(工藤店長)、古坂大魔王(成田オーナー)、宇野祥平(青木)、ジョナゴールド【リンゴ娘】(伊丸岡早苗)、西川洋子(相馬ハツエ)
弘前市の女子高生・相馬いとの津軽弁はクラスの中でも訛りが激しい。本を読めば爆笑を引き起こす。いとは気後れして話せず、友達もいない。祖母に仕込まれた三味線にも気が乗らずしまい込んでいたら、皮が破れてしまった。修理代を捻出したいと一念発起して、学校や家から離れた”都会”青森市でのアルバイトに応募した。引っ込み思案の自分を変えたくて選んだのはなんとメイドカフェ「津軽メイド珈琲店」!不安いっぱいだったがなんとか採用される。さっそく先輩メイドの幸子や智美に接客の特訓を受けるが「お帰りなさいませ、ご主人様」がスラスラと言えない。
原作の「いとみち」は3巻まで発行されています。もともと津軽三味線が好きで手に取ったのですが、なんとも可愛いいとちゃん、周りの人たちのキャラが良くてすぐに全部読んでしまいました。映画化を楽しみにしていましたら、ヒロインは青森出身の駒井蓮さん。津田寛治さんと共演の『名前』(2018)の女子高生役をよく覚えていますが、今は慶応大生。
豊川悦司さんが民俗学者で大学教授の父。東京出身で津軽弁ネイティブの義母の言葉がときどき聞き取れません。年頃の娘との付き合いに戸惑う様が新鮮です。
全て青森でロケしたこの映画、一足早く18日から青森で公開しています。日本の南にお住まいの方には津軽弁は難しいかもしれません。単語が聞き取れれば、後は俳優さんの演技でなんとか通じるはず。日本語なんですから。映画は舞台になった地元の言葉がいいなぁとつくづく思います。
劇中で披露する津軽三味線は蓮さんの特訓の成果です。おばあちゃん役の西川洋子さんは高橋竹山氏のお弟子さん、『津軽のカマリ』(2018)にも出演されていました。高くて綺麗なお声です。お二人の合奏シーンも必見。原作後半にはいとの恋愛や同僚たちの詳細なエピソードも描かれていますので、その後が気になる方はぜひ。(白)
★第16回大阪アジアン映画祭にてグランプリ&観客賞をダブル受賞
2021年/日本/カラー/シネスコ/116分
配給:アークエンタテインメント
(C)2021「いとみち」製作委員会
http://www.itomichi.com/
★2021年6月25日(金)ロードショー
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