2021年06月21日

王の願い ハングルの始まり(英題:The King's Letters)

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監督・脚本:チョ・ヒョルチョン
撮影:キム・テギョン
出演:ソン・ガンホ(世宗)、パク・ヘイル(シンミ)、チョン・ミソン(ソホン王妃)、キム・ジュンハン、チャ・レヒョン、タン・ジュンサン

朝鮮第4代国王・世宗の時代。これまで朝鮮には自国語を書き表す文字が存在しておらず、上流階級層だけが特権として中国の漢字を学び使用していた。この状況をもどかしく思う世宗(ソン・ガンホ)は、庶民でも容易に学べて書くことができる朝鮮独自の文字を作ることを決意。そこで、低い身分ながら何カ国もの言語に詳しい和尚シンミ(パク・ヘイル)とその弟子たちを呼び寄せ、協力を仰いだ。王を取り巻く臣下たちは、国の最高位である王様が最下層の僧侶と手を取り合い、庶民に文字を与えようとしている前代未聞の事態に激しく反発。逆境と葛藤のなか、世宗大王とシンミは民へ贈る新たな文字作りに突き進んでいく。

ソン・ガンホ(1967生まれ)、パク・ヘイル(1977生まれ)、チョン・ミソンの3人の共演は『殺人の追憶』以来16年ぶり。2003年の東京国際映画祭に来日、Bunnkamuraオーチャードホールでの舞台挨拶を見て、遠目にもソン・ガンホさんって大きいなと思った記憶があります。
本作では、すっかり貫禄の増した2人が民のために、新しい固有の文字を作ることに注力。王妃は2人を支えます。そのころ朝鮮を支配していた明に知られてはならず、家臣には猛反対される中苦労して完成。思わず観ているこちらも拍手したくなりました。
王の運命(さだめ) 歴史を変えた八日間』で、最優秀脚本賞を受賞したチョ・ヒョルチョンが本作で脚本のみならず監督デビューも果たしています。ソン・ガンホは朝鮮第21代国王・英祖役。撮影はどちらもキム・テギョンが担っていますので、なんだか観たことのある気がしたのも道理。
ハングルは1443年に世宗大王が、訓民正音(朝: 훈민정음、略称: 正音)の名で公布したとされています。同じように世宗が身分の差を超えて友情を結んだ『世宗大王 星を追う者たち』は、ハン・ソッキュ(世宗)、チェ・ミンシク(チャン・ヨンシル)が競演。そちらもご覧ください。(白)


世宗大王は、韓国の1万ウォン札に肖像画が描かれ、景福宮の正面の大通りのど真ん中にある光化門広場に銅像も立つ、まさに今も皆に愛されている名君。
訓民正音とは、「民を訓(おし)える正しい音」という意味。真に民のことを思っていたことがわかります・
世宗がハングルを作った経緯については、これまでドラマ「大王世宗」や「根の深い木~世宗大王の誓い~」などで描かれてきました。「大王世宗」ではキム・サンギョン、「根の深い木」ではハン・ソッキュが世宗を演じていました。今回のソン・ガンホ演じる世宗、さすがにご立派。
本作では、儒教が国是の朝鮮王朝で、民にも読める文字を作るのに助っ人として仏教の僧侶たちを選んだことが詳しく描かれていました。そも、お経を書き表すサンスクリットは表音文字。そこに目を付けたのです。パク・ヘイル演じる和尚シンミは、多言語に通じた人物。シンミから、サンスクリットは50文字、パスパ文字は41文字、チベット文字は34文字と聞いて、世宗は多すぎると頭を抱えます。そうして生み出されたのが、口の中の舌の動きを形にした文字。NHKのハングル講座でなるほど!と感心したのですが、いまだに覚えられません。
この映画のもう一つの魅力は、韓国各地の古い由緒ある建物の数々。ユネスコ世界文化遺産である陜川の「海印寺 蔵経板殿」、栄州の「浮石寺 無量寿殿」、安東の「鳳停寺」は、韓国映画として初めてスクリーンに映し出されたとのことです。お馴染みの景福宮や昌徳宮もロケ地となっています。(咲)

韓国映画をたくさん観てきた。でもハングル文字はなかなか理解ができない。きっとハングル文字の基本、「あいうえお」あるいは「アルファベット」を理解していれば、ハングル文字の法則がわかるのだろうと思いながら、いつも|や〇、□の組み合わせはどうなっているのかなと思っていた。今回もきっと韓国文字の組み立て法則を知っていたら、もっと興味深くみることができたのだろうなと思いながら観た。TVのハングル講座も1,2回は見たことがあるけど、2回くらいでさじをなげた。語学は最初の基本文字を理解するのが肝心といつも思うのだがハングルの基本文字は覚えることができなかった。ポルトガル語、スペイン語にも挑戦したけど基本文字の読み方をマスターしたあと挨拶言葉くらいしかできずだった。中国語はアルファベットのようなものはないけど、発音とか音の上下を表すピンインというのがある。これは30年近く勉強してもなかなか慣れない。やっぱり基礎でしっかり覚えなかったからかもしれない。それにしてもハングル文字の謎はこの作品を観てさらにちんぷんかんぷん。やっぱり基礎からやってみなきゃいけないかもと、映画を観ながら思った。
「韓流」が流行り始めた頃、皆さんのお気に入りの韓流スターはペ・ヨンジュン、イ・ビョンホン、チャン・ドンゴン、ウォンビンなどだったが、韓流ブームのずっと前から韓国映画を観てきた私の好みの韓流スターはアンソンギ、ソン・ガンホ、ハン・ソッキュ、ユ・ジテ、チェ・ミンシクなどだった。あまりに渋すぎ? 古い? でも、この方たちの演技力はすごいと思う。その中でも最近のソン・ガンホの出ている作品は『パラサイト 半地下の家族』など注目を浴びている。
このハングル文字が作られた経緯を描いた『王の願い ハングルの始まり』はこれまでの彼の作品とは違った威厳のある役で、また別の魅力を出していると思うけど、私はコミカルな役のほうが好き。彼の作品で一番好きなのは『反則王』かな(笑)。あの覆面レスラーの役を思うと、この王様の役は雲泥の差がある! 貫禄がさらに出てきたということかな(暁)。

2019年/日本/カラー/シネスコ/110分
配給:ハーク
(C)2019 MegaboxJoongAng PLUS M,Doodoong Pictures ALL RIGHTS RESERVED.
http://hark3.com/hangul/
★2021年6月25日(金)シネマート新宿ほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 19:48| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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