監督・編集:石川慶
脚本:石川慶、澤井香織
原作:ケン・リュウ『円弧(アーク)』(ハヤカワ文庫刊 「もののあはれ ケン・リュウ短篇傑作集2」)
音楽:世武裕子
出演:芳根京子(リナ)、寺島しのぶ(エマ)、岡田将生(天音)、清水くるみ、井之脇海、中川翼、中村ゆり、倍賞千恵子、風吹ジュン、小林薫
そう遠くない未来。17歳のリナは人生に自由を求め、生まれたばかりの息子と別れて放浪生活を送ってきた。19歳になったリナは、エマと出会い、彼女の指導のもと<ボディワークス>を作る仕事に就く。それは最愛の存在を亡くした人々のために、遺体を生きていた姿のまま保存できるように施術(プラスティネーション)する仕事であった。リナのセンスを認めたエマは技術をあますことなく伝えていく。
エマの弟・天音はこの技術を発展させ、遂に「不老不死」を完成させる。リナはその施術を受けた世界初の女性となり、30歳の身体のまま永遠の人生を生きていくことになるが・・・。
原作は短編なので、あっさり読んでしまいましたが、そこで繰り広げられる施術もまったく映像を想像できませんでした。これを脚色して2時間余りの映像にまとめた脚本と監督はすごい!すごいというなら、あの舞のようなプラスティネーションもすごい。よく糸が絡まらないなと見入りました。振付の方がいたようです。
何より19歳から132歳のリナを演じた芳根京子さんがすごい!見た目は30歳のまま変化しませんが、子どもを産み育て、事業を継続し、多くの人々と出会いと別れを繰り返した歴史が内面に積み重なっているわけです。ある時期から年をとらないことを選ぶ人もいれば、自然のまま生き、死んでいくことを選ぶ人がいます。後半モノクロ画面に登場する老夫婦のしみじみとした場面が心に残ります。不老不死が本当に幸せなんだろうか、と考えてしまいます。
<ボディワークス>の依頼主が何人か登場しますが、これは自分では絶対にしません~。いくら大切な人でも魂がなくなった入れものの身体は灰になるか、自然に還るのがいいです。<ボディワークス>と<ストップエイジング>あなたはいかがですか?
(白)
2021年/日本/カラー、モノクロ/スコープサイズ/127分/5.1ch
c2021映画『Arc』製作委員会
配給:ワーナー・ブラザース映画
https://wwws.warnerbros.co.jp/arc-movie/
2021年6月25日(金) より全国ロードショー
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