劇場情報
制作・監督・撮影・編集:杉岡太樹
エグゼクティブプロデューサー:スティーブン・ヘインズ(Steven Haynes)
撮影:新行内大輝 小禄慎一郎
音楽:tickles、yutaka hirasaka、Lil'Yukichi、Takahiro Kozuka、Ally Mobbs、ruka ohta
出演
サリー楓、スティーブン・ヘインズ、西村宏堂、JobRainbow、小林博人、西原さつき、はるな愛
新世代のトランスジェンダーアイコン
“サリー楓”を捉えた現在進行形のドキュメンタリー
多くのメディアへ出演しトランスジェンダーの新しいアイコンとして注目されるサリー楓。子供の頃からの夢だった建築家を目指して就職したところ。自分の人生のあり方を模索する「新しい女性」の誕生ストーリー。
大学に男子として入学し、建築を学び、女子として卒業。大手建設会社に内定。8歳からの夢だった建築家としての夢を歩み始めた楓。男であることにずっと違和感を持ち続けてきた楓は就職を機に、これから始まる長い社会人としての生活を女性としてやっていこうと決断した。幼い頃から夢見ていた建築業界への就職も決まり、卒業までに残された数か月のモラトリアム期間に、楓は女性としての実力を試そうとするかのように動き始めた。
ビューティーコンテストへの出場や、LGBT就職支援活動、講演活動などを通して、楓は少しづつ注目を集めるようになった。それらの活動を通して世間のトランスジェンダーに対するステレオタイプや既成概念を打ち砕き、新しいトランスジェンダー女性像を打ち出そうとする。自身が活躍することでセクシャルマイノリティの可能性を広げたいと語る楓だが、胸中には「父親の期待を受け止めきれなかった息子」という思いが根強く残っていた。母親はある程度理解してくれたけど、父親の息子への期待には応えられなかった葛藤。自分らしく生きたいという思いと家族の関係の中で心にしこりは残る。
二つの間を揺れながら、楓はどんな未来をつくり上げていくだろうか。
これは社会の常識という壁に挑みながら、自分の人生のあり方を模索する「新しい女性誕生」ストーリーである。
「男から女へ」なりたい気持ちはわかる。私は女だけど、子供の頃から「男に生まれればよかった」とずっと思って生きてきたから。しかし、それは「男性になりたい」という気持ちではなく、自分がやりたいことをやろうと思うと、「女のくせに」とか「女は女らしく」と言われて制限されて生きてきたから。「男だったらもっと自分のやりたいことをやれていたのに」と思って生きてきた。そういう思いで約70年生きてきたものからすれば、「女のほうが制限が多いよ。男のままのほうが生きやすいと思うよ」としか言いようがない。
だいたい、化粧をしたり、スカートをはいたり、ハイヒールを履きたいと思ったことがないし、そういうのを強制されるのが嫌だった。それを拒否し、そういうのをしなくていい世界を選んで生きてきた。なので、それをしたいという思いが私にはわからない。それは、そうしたい人を差別する気持ちとは違う。化粧したい人はすればいいし、スカートをはきたい人はつければいい、ハイヒールを履きたいのならはけばいい。「なりたい自分を制限する」ことには断固反対していきたいと思う。そういう意味で、この楓さんの「なりたい自分」に向かっていく生き方は応援したい。(暁)。
『息子のままで、女子になる』公式HP
【配給】mirrorball works
【宣伝】大福、大西夏奈子
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