2021年06月13日

グリード ファストファッション帝国の真実   原題:Greed

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監督・脚本:マイケル・ウィンターボトム
製作:ダミアン・ジョーンズ
出演:スティーヴ・クーガン、アイラ・フィッシャー、シャーリー・ヘンダーソン、エイサ・バターフィールド

ギリシャ、ミコノス島。ファストファッションブランドの経営で財を成したリチャード・マクリディ卿(スティーヴ・クーガン)は、この陽光眩しい島で、自身の60歳の誕生日を盛大に祝おうと準備を進めている。イギリス当局から脱税や縫製工場の労働問題を追及されており、このパーティでかつての栄光を取り戻そうと目論んでいるのだ。紺碧の海を見晴らす丘に古代ローマの闘技場を模したセットを作らせ、檻にはライオンも待機させている。誕生日が近づき、元妻のサマンサ(アイラ・フィッシャー)が、思春期の息子フィン(エイサ・バターフィールド)とリアリティショーに出演中の娘リリー(ソフィ・クックソン)を連れてミコノス島にやってくる。リチャードの母親マーガレット(シャ―リー・ヘンダーソン)は、リチャードの自伝執筆のために雇われた作家ニック(デヴィッド・ミッチェル)に良い伝記を書くよう圧力を掛けている。だが、ニックは取材する中で、彼の商品が作られているスリランカの縫製工場の劣悪な労働環境と低賃金を知る。さらにパーティスタッフであるスリランカ出身のアマンダ(ディニタ・ゴーヒル)から、彼女の母親も搾取されたあげく非業の死を遂げたと聞き、ニックは憤りを覚える。
誕生日当日、船で次々にセレブな招待客がやってくる。中には、セレブのそっくりさんもいる・・・

浜辺でテントを張って暮らすシリア難民たちを、目障りだからと排除しようとしたり、円形闘技場の建設が進まないので、低賃金のブルガリア人でなく、倍出してもいいから優秀な人材を雇えなど、我儘放題のリチャード。
強欲に(greed)経費を抑えて富を築いた者と、搾取される者、虐げられた者の対比が強烈に描かれていて、最後には、実際のスリランカやミャンマーの縫製工場の様子が映し出されます。日本の某ファストファッション会社も、中国より安い賃金のバングラデシュに縫製工場を移したことを思い出しました。
弱者への眼差しは、さすが、『イン・ディス・ワールド』を作ったマイケル・ウィンターボトム監督ならではと思いました。
一方、炸裂するブラックユーモア。マクリディ卿を演じたスティーヴ・クーガン主演のグルメ取材シリーズ、『スティーヴとロブのグルメトリップ』(10)、『イタリアは呼んでいる』(14)、『スペインは呼んでいる』(17)も、マイケル・ウィンターボトム監督作品だったのですね。納得!
本作、おふざけが過ぎる感もあるのですが、最初と最後に掲げられる「融和あるのみ」という言葉に、監督の思いが集約されていると感じました。(咲)


2019年/イギリス/英語/カラー/シネスコ/5.1ch/104分
配給:ツイン
©2019 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. AND CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION
公式サイト:http://greed-japan.com/
★2021年6月18日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ他にて全国公開
posted by sakiko at 18:34| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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