2021年06月06日
湖底の空 英題:SORA
監督・脚本:佐藤智也
出演:イ・テギョン、阿部カ、みょんふぁ、武田裕光、アグネス・チャン、ウム・ソヨン、ジョ・ハラ、周亜林、蔡仁堯、早川知子、王玫子、金暁明
空(そら)と海(かい)は、日本人の父・高志と韓国人の母・チスクの間に生まれた一卵性双生児の姉弟。大きな湖があり、民俗芸能が盛んな韓国・安東(アンドン)で生まれ育った。小さいときから二人は絵を描くのが好きだった。
28歳になった空は中国・上海で暮らしている。イラストレーターとして仕事を得ようとするが、作品の売り込みはなかなかうまくいかない。出版社に勤める日本人の男性、望月隼人が何かと空の絵を気にかけ、仕事を提供しようとする。異郷の地で暮らす二人は、似たような境遇から親密な関係を築きつつあった。
空のもとに双子の弟が訪ねてくる。性に関する問題を抱えていた海(かい)は性別適合手術を受けて女性となり、名前を海(うみ)と変えていた。
海(うみ)が空と望月を結び付けようとし、恋愛が実りそうになるが、なぜだか空は望月に対し、自分はジェンダーの問題を抱えた海(うみ)の方だと名乗ってしまう・・・
◆ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2020 グランプリ&シネガーアワードW受賞
2001年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭に佐藤智也監督が短編を出品した時から、韓国映画界との縁が出来、この日中韓合作映画に繋がりました。
キャストやスタッフは、韓国で活動する日本人、日本で活動する中国人、日本生まれの韓国人や中国人など様々。撮影には、韓国語、中国語の通訳がつき、3か国語が入り乱れる混沌とした現場だったそうです。
映画の最後、キャストとスタッフの名前が、縦書きで出てくるのですが、韓国語→日本語→中国語と一つ一つ次々に転換していく様がとても素敵です。
撮影地は、韓国・安東市、中国・上海市、日本・東京。
中でも、安東は儒教発祥の地で今も伝統的な町並みの残る風情あるところ。仮面劇が印象的に出てきます。大きな湖は、実はダム湖。当初から湖のあるところで撮影しようと韓国の湖を探し回ったそうですが、日本のような火山国ではない韓国では湖が少なく、ほとんどが川をせき止めて造られたダム湖。
弟の海(かい)が性転換し海(うみ)という女性になり、観ている私も、隼人と話しているのは空(そら)なのか海(うみ)なのかと、くらくら。
自分は何者なのか、この世に存在する意義は?と浮遊する姿が、美しい映像の中で展開するのですが、実は驚きの事実が・・・ これは是非映画をご覧になってご確認を! (咲)
性別適合⼿術を受けて、女性になった弟を持った⼀卵性双⽣児の姉が主人公。一卵性で姉と弟?と思ったら、父親の染色体が普通でないと起こると説明があり、納得。地元を離れて上海に住み、絵の道で生計を立てようと奮闘中。しかし、なかなか思うようには進まない。積極的な弟(妹か?)に言い負かされては凹んでしまう。
恋愛もいつも長くは続かず、今回も土壇場でとんでもないことを言い出すが。。。
弟の性同一性障害のことがテーマの作品と思いきや、後半になって彼女がある大きな十字架を背負って生きてきたことが分かる。その十字架は韓国に残って暮らす母もまた背負っていた。
人生やり直すことはできない。とんでもないことをやってしまっても、それをいかに受け入れ、もう一度前を向いて歩き出すかが大事。ラストは希望を感じさせているが、それは母が経験した過ちの繰り返しではないか。おばさんとしては大きなお世話を焼きたくなってしまう。(堀)
山水画を思わせる安東の風景が印象的でした。そしてまか不思議な物語。双子で男と女。一人二役にしても難しい。途中はすっかり騙されました。いろいろな仕掛けもあったけど、情緒もある作品でした。
日本、韓国を中心に中国語圏の俳優も出てくる。『椿の庭』『アジアの天使』など、最近、韓国、中国、台湾、香港などの俳優がミックスで出演する映画が続いて公開されているが、これからも交流が続いていくのでしょう。阿部カさん、最近見ないのでどうしているかなと思っていたのですが、久しぶりに見ることができてうれしかったです。人気TVドラマ「花より男子」シリーズに出ていた時には知らずでしたが、TV中国語教室にも出ていましたね(暁)。
2019年/日本・韓国・中国/111分
配給:ムービー・アクト・プロジェクト
公式サイト:https://www.sora-movie.com/
★2021年6月12日(土)より新宿K's cinemaほか全国順次公開
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