2021年05月30日

デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング 原題:Denise Ho: Becoming the Song

2021年6月5日よりシアター・イメージフォーラムにて公開 公開劇場情報 

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©Aquarian Works, LLC 

監督・脚本・プロデューサー:スー・ウィリアムズ 
制作総指揮:ヘレン・シウ 
共同制作:ジュディス・ヴェッキオーネ
編集:エマ・モリス 
撮影:ジェリー・リシウス 
字幕:西村美須寿 字幕監修:Miss D 
出演:デニス・ホー(何韻詩)、アンソニー・ウォン(黄耀明)、アニタ・ムイ(梅艷芳)

香港に自由を
デニス・ホー。熱狂と再生のドキュメンタリー


2014年に香港で起こった「雨傘運動」。警官隊の催涙弾に対抗して雨傘を持った若者たちが街を占拠したこの運動に、一人の香港歌手の姿があった。彼女の名前はデニス・ホー(何韻詩)。同性愛を公表する香港のスター歌手である彼女は、この雨傘運動でキャリアの岐路に立たされていた。彼女は、中心街を占拠した学生たちを支持したことで逮捕され、中国のブラックリストに入ってしまう。
ジョニー・トー(杜琪峯)監督の『奪命金』(2011)に出演し、俳優としても活躍する香港の歌手デニス・ホーを追ったドキュメンタリー。パワフルなコンサート映像や、雨傘運動に対する支援など、デニスの様々な活動を追っている。
デニス・ホーは1977年香港生まれのシンガーソングライター。11才で家族とカナダへ移住。9才の時にコンサートで見たアニタ・ムイ(梅艷芳)に憧れ、1996年香港の歌唱コンテストに出場し歌手の道へ。アニタ・ムイの弟子に。2001年にデビュー。音楽賞を総ナメにして以後香港ポッブスの中核を担う歌手として音楽活動を続ける中、女優としても活躍。
2014年、香港の民主的な選挙を求めて3ヶ月に及ぶ道路占拠に至った「雨傘運動」。警官隊の催涙弾に対抗して雨傘を持った若者たちが街を占拠したこの運動にデニスも参加。香港の女性歌手で初めて同性愛であることも公表していた彼女は、この雨傘運動でキャリアの岐路に立たされた。学生たちを支持し運動に参加したことで逮捕され、中国のブラックリストに。スポンサーが離れていき、演唱會を開催することが出来なくなった彼女は、キャリアを再構築しようと第二の故郷モントリオールへと向かった。カナダやアメリカでもライブを行い支持者を募り歌手活動を続ける。
 2019年には逃亡犯条例改正に反対するデモが起き、彼女は再び運動に参加。数百万のデモ参加者が街頭に繰り出した時、彼女も催涙ガスと放水砲が飛び交う通りに立ちデモ参加者を守ろうと警官隊と対峙。国連やアメリカ議会でも香港の危機的状況について訴え、自由と民主主義を守ろうとする人々の姿を世界に発信した。

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 ©Aquarian Works, LLC 

これから見えるのは香港ポップス界のスターであるデニスが香港のアイデンティティと自由を守るために声を上げる民主活動家へと変貌していく姿。香港の闘いはまだ終わっていない!
 1994年頃から中華圏(香港、台湾、中国、シンガポールなど)の音楽にハマってしまい、それから約20年。中華圏音楽のCDを買い、今や400枚位ある。でもアニタやデニスは2枚くらいしか持っていない。それでもアニタの歌や映画はけっこうビデオで観てきた。でもデニスのことは、映画は『奪命金』しか知らなかった。彼女が活躍し始めた10年位前からHMVとか行かなくなってしまったから。今、日本で彼女のCDを買うことができるなら買って聞いてみたい。
『奪命金』でデニスは漁夫の利を得る銀行員だか金融機関に勤める事務員の役を演じていた。そういえば、2012年の香港電影金像奨の取材で香港に行ったなと思い、その時『奪命金』は助演女優賞・蘇杏璇(ソー・ハンシュン)と助演男優賞・盧海鵬(ロー・ホイパン)を受賞していたと思い出し、もしかしてその時デニスも授賞式の会場に来ていたらレッドカーペットでの写真があるかもしれないと、その時の写真を調べてみたけど、彼女はどうも授賞式には来ていなかったよう。写真はなかった。アニタ・ムイのラストコンサート?には、デニス以外のアニタの弟子的な存在のグラスホッパーやアンディ・ホイの姿もチラッと写っていて懐かしかった。みんな元気だろうか。
この映画のデニス・ホーの姿を通して、香港の人々の声が世界に伝わるといいのだけど。そして香港でも公開できる日が来てほしい(暁)。


香港の自由と民主主義のために果敢に闘うデニス・ホーという歌手がいることを、この映画を観るまで知りませんでした。
アニタ・ムイに憧れて歌手になり、弟子入りも果たしたデニス・ホー。
アニタ・ムイが亡くなる前年の2002年の初冬だったと記憶しているのですが、闘病中のアニタを囲んで、アニタと親しい歌手たちが出演するコンサートが香港コンベンションセンターで開かれました。もしかしたら、レスリー・チャンも出るかもと、レスリーのファン仲間6人で香港に飛びました。予想に反して、レスリーは最後まで出てこなくてがっかりだったのですが、アンディ・ラウやジャッキー・チュン等々、アニタと親しい香港のトップスターたちが一堂に会して、痩せ細ったアニタを疲れさせないようにと気遣うアットホームなコンサートでした。このコンサートに、デニス・ホーも出演していたのかもしれません。その後、アニタの追随はやめ、自分らしいスタイルで活動しているデニス・ホー。彼女の願いが叶って、香港にかつてのような自由な世界が戻ることを祈るばかりです。かなり絶望的なのが悲しい・・・ (咲)


協力:TOKYO FILMeX、市山尚三 資料監修:江口洋子 
【2020/アメリカ/ドキュメンタリー/DCP/83分】
『デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング』公式HP
左から黄耀明と何韻詩 .JPG
左から黄耀明と何韻詩 ©Aquarian Works,LLC


*シネマジャーナルHP 「雨傘運動」に関する、他の作品の監督インタビュー記事
『革命まで』2015年 香港
郭達俊(クォック・タッチュン)監督&江瓊珠(コン・キンチュー)監督インタビュー
山形国際ドキュメンタリー映画祭 2015にて
http://www.cinemajournal.net/special/2016/kakumeimade/index.html

『乱世備忘 ― 僕らの雨傘運動』
英題 Yellowing   香港/2016年/128分カラー/広東語
山形国際ドキュメンタリー映画祭2017 アジア千波万波 小川紳介賞受賞
山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017にて
http://www.cinemajournal.net/special/2017/yellowing/index.html

『乱世備忘 僕らの雨傘運動』
陳梓桓(チャン・ジーウン)監督インタビュー(日本公開時)
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/460641864.html

posted by akemi at 08:32| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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