2021年05月25日

5月の花嫁学校   原題:La bonne épouse  英題:How to be a good wife

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監督・脚本:マルタン・プロヴォ(『ルージュの手紙』『セラフィーヌの庭』)
出演:ジュリエット・ビノシュ、ヨランド・モロー、ノエミ・ルボフスキー、フランソワ・ベルレアン、エドゥアール・ベール

1967年春、フランス、アルザス地方の小さな村。ヴァン・デル・ベック家政学校に、18人の少女たちが入学する。ピンクのスーツ姿で迎える校長のポーレット(ジュリエット・ビノシュ)。講師陣は迷信を信じる修道女、マリー=テレーズ(ノエミ・リヴォウスキー)と、ポートレットの義理の妹で料理長のジルベルト(ヨランド・モロー)。2年間で良妻賢母に仕立て上げる授業は、女性解放運動の風を感じ始めた少女たちには、ちょっと時代遅れだ。親が決めた結婚なんてしたくないと反発しながらも、お金も学歴もない彼女たちは大人の決めた道に進むしかなかった。
ある日、ポーレットの夫で学校の経営者のロベール(フランソワ・ベルレアン)が莫大な隠れ借金を遺して急死する。日々、夫の事業を支え、夜のお勤めにも渋々おつきあいしていたのに、こんなひどい仕打ちが待っていたとは……。ポーレットは破産寸前の学校を救うために、取引先の銀行に駆け込む。担当者は、なんと、第2次世界大戦で死んだと思っていた恋人アンドレ(エドゥアール・ベール)だった。30年振りの再会に興奮を隠せない彼はウルトラC級の解決法を提案。ポーレットを破産危機から救出し、心の奥にしまっていた情熱に火をつける・・・
 
夫の突然の死を機に、いかに夫が自分を縛り付けていたかに気付き、自分らしく生きることに目覚めるポーレット。少女たちもまた、美容師になりたい、法律を勉強したいと将来を見据えます。
社会変革を求める五月革命の嵐が吹き荒れ、フランス全土にあった花嫁学校は2年後にはすべて消滅。何百年も当たり前だった亭主関白も、1968年以降、フランスでは絶滅の途を辿っているそうで、その点、日本はまだまだと不満に思います。
マルタン・プロヴォ監督は1957年生まれ。彼自身の父が亭主関白だったことや、夏になると花嫁学校の生徒が家政婦として家に来ていた記憶があって、今また女性たちを公の場から家庭に戻そうとする動きを敏感に察知しています。逆戻りしないようにと女性たちにエールをおくった作品です。
文字で書いてしまうと、女性が自我に目覚める社会派映画かと思う方もいるかもですが、そこはやっぱりおフランス! いくつになっても恋に浮つく姿が、コメディタッチで描かれています。フランス人から色恋を取ったら何が残るのやら! 年をとっても、そうありたいと、うらやましくもあります♪(咲)


この花嫁学校に来る子たちと大差ない時代に青春を送りました。確かに女の子の幸せは結婚にあり、会社で働いても寿退社が花道みたいな空気がありました。結婚はゴールじゃなくてスタート、というか通過点だと思い知るのは結婚してからです。子育てや家事も大切ですが、なんだか物足りないと思っていました。当時後回しにしてきたことを今やれる自由や時間があるので、怠けないでちゃんとやらなくては。あきらめないうちは失敗じゃない、っていいますしね。おっと、映画と離れてしまいました。
この作品に登場する女の子たち、陰に甘んじていたポーレットやジルベルトの気づき、シスターの意外な過去など、歌って踊って軽めに見えますが、実はけっこう大切なことを言っています。好いた惚れたなしでは客入りが悪いのか、と勘ぐりつつ、フランスだしねと納得。めんどくさいのが苦手な(白)より。


2020年/フランス/フランス語/109分/シネスコ/5.1ch
日本語字幕:井村千瑞
配給:アルバトロス・フィルム
(C)2020 - LES FILMS DU KIOSQUE - FRANCE 3 CINEMA - ORANGE STUDIO - UMEDIA
公式サイト:https://5gatsu-hanayome.com/
★2021年5月28日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開!


posted by sakiko at 15:47| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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