監督:遠藤隆(テレビ岩手)
ナレーション:湯浅真由美
2011年3月11日。
この日、震度7の地震と津波が東北地方を襲いました。
未曾有の大災害をもたらした東日本大震災。
地元のテレビ岩手は、震災直後から被害の状況、被災者の安否、そして避難者の声をテレビ放送を通じて伝え続けてきました。
あれから10年・・・
がれきの山はなくなり、防潮堤が整備され、低い土地はかさ上げされてそこに新たな街ができました。しかし、復興は終わったわけではありません。
あの日から生活が一変した人々は、今なお、もがき、揺れ動き、大きなうねりの中に身をゆだねながらも懸命に生きています。
この映画は、津波や復興、そして防災の資料として 全国や後世に伝え遺すべき、との思いから作られました。
宮古、陸前高田、釜石、大船渡、遠野・・・
1850 時間の映像から紡いだ本作からは、大災害に直面した人たちのそれぞれの思いがあふれ出ています。
高台にあった家は無事だったのに、近隣の人を助けに行って行方不明になってしまった夫に手紙を書き続けた奥さま。数年後、ようやく死亡届を出されたという話に、肉親が津波にのまれてしまったことを信じたくない方たちが今も大勢いることに思いを馳せました。
津波で家を失った近隣の人たち38人を受け入れた釜石の旅館・宝来館の女将さんは、裏山に車椅子でも避難できる「きずなの道」を作って、今も営業を続けています。コロナ禍、経営は大丈夫でしょうか・・・
震災 5 日目に、運行可能な路線を当時無料で走らせた三陸鉄道北リアス線。2019年3月、復興した南リアス線やJR山田線一部区間と統合されて、三陸鉄道リアス線となり、4時間半の路線となりました。
10年前、中学生で、2009年に作ったビデオ「津波てんでんこ」の教えに従って高台に走った子は成長し、この復旧した三陸鉄道の運転士になっています。
「たゆたえども沈まず」というタイトルは、パリ市の紋章にラテン語で書かれている “Fluctuat nec mergitur”(揺れはするが、沈まない)から取られたもの。人は、何があっても立ち直れるということでしょうか・・・
コロナ禍の今、いつかきっと乗り越えられると心を強く持って立ち向かいたいものだと思わせられました。(咲)
(C)2021テレビ岩手
テレビ岩手がこれまでに撮影した1850時間の記録映像の中から、選ばれた映像にはそれぞれのあのときと今が刻まれています。大切な方を亡くして時間が止まってしまった方も多いことでしょう。10年は長くて、そしてあっというまでもありました。語ることで前に進めたり、忘れないことを力にできたりもします。スタッフ欄には『山懐(やまふところ)に抱かれて』の遠藤隆監督、田中カメラマン、編集の佐藤さんのお名前が並んでいます。これらの映像を見返すと当時が蘇り、上映に適した時間に収めるのが大変だったろうと思います。一人ひとりの来し方を、縁あって撮り続けた人の想いもそっとのせられていました。みなさまの行く末に幸多きことを祈ります。(白)
☆この映画の収益金は、全額「いわての学び希望基金」に寄付されます。
◆6月12日(土)、13日(日)に開催を予定していたポレポレ東中野でのトークイベントはこの度の緊急事態宣言の延長を受け、中止となりました。
2021 年/日本/103 分/16:9/カラー/DCP/ドキュメンタリー
企画・製作:テレビ岩手
制作協力:日本テレビ放送網株式会社/株式会社宮城テレビ放送/株式会社福島中央テレビ/NNN取材団
特別協力:読売新聞社
後援:岩手県/岩手県教育委員会
公式サイト:https://www.tvi.jp/tayutaedomo/
★2021 年 5 月 29 日(土)〜東京・ポレポレ東中野にて公開
2021 年 3 月 5 日(金)〜地元での劇場公開(岩手県内 4 館+仙台・福島)
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