2021年05月23日

ローズメイカー 奇跡のバラ   原題:La fine fleur

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監督・脚本:ピエール・ピノー
出演:カトリーヌ・フロ、メラン・オメルタ、マリー・プショー、オリヴィア・コート、ファツァー・ブヤメッド、ヴァンサン・ドゥディエンヌ

エヴは、父の遺してくれた小さなバラ園を経営する育種家。かつて、パリで開催される国際バラ新品種コンクールで、何度も優勝し、天才ローズメイカーと称されていた。だが、この8年はバラを大量生産する巨大企業ラマルゼル社に賞を奪われ、顧客も減り、バラ園は倒産寸前。ただ一人の助手のヴェラが何とか立て直そうと、職業訓練所から前科者のフレッド、なかなか定職に就けないサミール、内気な女性ナデージュを雇う。社会復帰を目指す人たち故、低賃金なのはいいが、全くの素人。手助けどころか失敗の連続。そんなある日、エヴに新種のアイディアが閃く。交配に必要な希少種の「ライオン」が、ラマルゼル社にしかないことがわかり、盗みの前科があるフレッドを頼りにラマルゼル社のバラ園に忍び込む・・・

自分らしいバラを作り出そうと奮闘するエヴと、彼女を取り巻く人たちの姿がコメディタッチで描かれた物語。バラの為なら、なりふり構わないカトリーヌ・フロ演じるエヴと、ヴァンサン・ドゥディエンヌ演じるやり手経営者ラマルゼルの対決が絶妙です。新種のために不法侵入までしていまうという、ややドタバタ喜劇の面もあるのですが、バラどころか、園芸に疎かった3人の人たちが、縁あってバラ園で働くようになり、新種のために情熱を持ったエヴをみて、それぞれの人生を見つめなおす姿も素敵に描かれています。
アルジェリア生まれのファツァー・ブヤメッド演じるサミールはフランス生まれの移民2世か3世という設定で、市民権を得ていてもフランスでなかなか定職に就けないという社会背景もさりげなく描いています。

ところで、ペルシア語でバラは「ゴルGOL」といいますが、花という単語も「GOL」。まさしく、花を代表するのがバラ。それは世界共通の認識かもしれません。次々に作り出されるバラの新種の名前をみると、作り手の思いを感じます。
ピエール・ピノー監督は、映画と同様に、花や庭園にも長年情熱を持っていて、バラを作ることがフランスのお家芸であることを知り、本作の脚本を書き始めたそうです。この企画を気に入ってくださっていたお母さまは、脚本執筆中に他界。映画は、お母さまに捧げられています。私もバラが大好きだった母を思い出しました。この映画を見せてあげたかった! (咲)


2020年/96分/G/フランス
配給:松竹
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/rosemaker/
★2021年5月28日(金)全国公開
☆各劇場の状況は劇場情報をご覧ください。
https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=rosemaker




posted by sakiko at 12:36| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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