2021年05月22日
アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン(原題:Amazing Grace)
監督・撮影:シドニー・ポラック『愛と哀しみの果て
映画化プロデューサー:アラン・エリオット
出演:アレサ・フランクリン、ジェームズ・クリーブランド、コーネル・デュプリー(ギター)、チャック・レイニー(ベース)、ケニー・ルーパー(オルガン)、パンチョ・モラレス(パーカッション)、バーナード・パーディー(ドラム)、アレキサンダー・ハミルトン(聖歌隊指揮)他
「ソウルの女王」アレサ・フランクリン(1942-2018)のドキュメンタリー。1972年1月13、14日の2日間、ロサンゼルスのニュー・テンプル・ミッショナリー・バプティスト教会でのライブを収録したライブ・アルバム「AMAZING GRACE」は、300万枚以上の販売を記録し大ヒット。史上最高のゴスペル・アルバムとして今も尚輝き続けている。そのアルバムの映像が半世紀近く経って完成、日本で初上映となった。
「幻のフィルム」が公開できなかったのは、テイクの始まりと終わりの「カチンコ」が入っていなくて(なぜそんなことに?)、映像と音声をシンクロさせられなかったからなんだそうです。お蔵入りになっている間に技術が進んで、その修正ができるようになったんだとか。公開できてほんとによかった。
アルバムでは、アレサ・フランクリンの素晴らしい歌唱を聞くことができます。この映像には彼女のバンドのメンバーやコーラス隊、聴き入る観客が映っています。長い時を経てしまいましたが、そのときに飛び、彼女や観客と一緒に格別な体験をしましょう。(白)
私はアレサの名前も知らなかったほど疎いのですが、妹はジャズやブルースなど黒人音楽が大好きで、30年程前、3か月のアメリカ滞在中に黒人の集う教会でゴスペルを体感しています。特に、メンフィスからニューオーリンズにかけてドライブした時には、各町の教会を訪れ、どこでも大歓迎され一緒にゴスペルに合わせて踊って、ものすごく楽しかったそうです。
本作は、アレサ・フランクリンが子どもの頃から歌って慣れ親しんでいた歌の数々を収録した時の映像。歌詞も字幕でちゃんと見ることができて、なるほど、こうしてアメリカの黒人の人たちはキリスト教を自分たちの信仰として取り入れていったのだとわかりました。例えば、「Mary Don’t You Weep(マリアよ、泣くなかれ)」は、モーゼの出エジプトの話。歌で自然に旧約聖書も耳に馴染んでいくのですね。映画の最後には、司会の師の「天上の人は決して老いることはない。父や母にも会える」「信仰を持っていることが嬉しい」と結ばれます。1970年代といえば、黒人の公民権運動が盛んだったころ。白人に蹂躙され、差別を受けてきた黒人の人たちの心の拠り所になっていたのがキリスト教というのが、なんともなぁ~というのが信仰を持たない私の実感。でも、アレサ・フランクリンの魂が籠った熱唱を聴くと、酔いしれて信じてしまうのもわかるような気がします。 そして、1970年代という時代、ミニスカートが流行ったことも懐かしく思い出した映画でした。(咲)
「アメイジング・グレイス」は私の大好きな曲です。そしていろいろな人が歌っている曲でもあり、たくさんこの曲を聴いてきました。
この曲はアカペラで歌われるのが一番好き。でも、最後のほうたくさんの人が輪唱するように歌われるのも好き。とにかくこの歌を聴くと胸が打ち震えます。英語の歌詞は知らないできましたが、キリスト教徒でなくても、何か神様の力のようなものを感じます。
そして、この教会での50年近くも前のアレサ・フランクリンの歌の収録風景を感慨深く見ました。彼女の歌は若い頃、ずいぶんラジオから流れているのを聴きましたが、今、聴いても素晴らしい歌声です。教会での収録なんていうのが当時あったんだと驚きでした。確かに教会での音の反響というのは独特のものがあると思います。そして信心がなくてもおごそかな気持ちになります。でもおごそかさだけでなく、やはりソウルはパワフルなシャウトが真骨頂。彼女の歌の魅力を充分に伝えていました。けっして古くはないのです。
司会とピアノを弾いていたのは、「ゴスペル音楽の王」と言われたジェームズ・クリーブランド牧師。それにしてもこんな古い映像を再現できる技術があるとはびっくり。我が家の子供の頃に撮った8ミリの映像もなんかデジタル化できないかなと思わず思ってしまった(暁)。
2018年/アメリカ/カラー/90分
配給:ギャガGAGA★
2018(C)Amazing Grace Movie LLC
https://gaga.ne.jp/amazing-grace/
★2021年5月28日(金)よりBunkamuraル・シネマほか全国ロードショー
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