2021年05月09日

グンダーマン 優しき裏切り者の歌   原題:GUNDERMANN

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監督:アンドレアス・ドレーゼン
脚本:ライラ・シュティーラー 音楽:イェンス・クヴァント
出演:アレクサンダー・シェーア、アンナ・ウンターベルガー

失われた国、最大のスキャンダルとなった秘密警察 (シュタージ) ――
“東ドイツのボブ・ディラン”と呼ばれ、スパイだった男の真実の物語

ゲアハルト・グンダーマンは、ベルリンの壁が崩壊し、東ドイツが消滅した後もシンガー・ソングライターとして、カリスマ的な人気を博していた。しかし、彼は人には言えない過去を抱えていた。昼間は炭鉱でパワーショベルを運転、仕事が終わると仲間と共にステージに上がり、自作の歌で人々に感動を与えていた。しかし、東西統一後、シュタージに協力した人々の多くが、その事実をひた隠し、公になることを恐れていた。かつて、バンド仲間や友人たちの行動を報告していた過去が脳裏を過る。そして、友人の妻となった幼なじみコニーへの諦めきれない想い。優しかった父との確執と再会。そんなある時、かつてシュタージに協力した著名人たちが次々と告発されるのをテレビ報道で知る。彼は友人たちを訪ね、過去の自分とシュタージとの関わりを告白する・・・

シュタージに指示されるまま、友人たちを監視していたことがずっと心の重荷になっていたグンダーマン。勇気を振り絞って友人に告白したところ、「俺もお前を監視していた」と告げられます。体制に逆らえなかったからと割り切って過ごす人の多い中、グンダーマン、あまりにお人よしすぎて、ちょっといらつきます。
東ドイツがお互いを監視する社会だったことが、当時、どれくらい明らかだったのでしょう。東西ドイツが統一して、自由社会で暮らせるようになっても、過去を引きずって生きる人たちが多くいることに思いが至りました。過去は忘れるのが処世術!?(咲)

東西冷戦の時代、ドイツは東西に分断されていた。そして東ドイツの秘密警察は、国民同士を監視するようなことをしていた。これはグンダーマン という人物を介する形で、そういうことを告発する映画なのだろうか? 国家というのは、社会主義国家だろうと、民主主義国家だろうとも、そういう風に人を監視している。私も1969年頃の日本でそういう経験をした人たちのことを知っている。あの頃、学生運動や反戦運動をしている人たちを監視している人たちがいて、デモの最中に「あのイヤホーンをしている人たちには気をつけたほうがいい」なんて言葉も聞いたことがある。今もそういうことがあるのかもしれない。
炭鉱で働きながら歌を作り、歌っていたグンダーマン。日々の暮らし、仕事のことなど歌っていた。巨大なパワーショベルを運転し、炭鉱の鉱脈がある場所を削っていたのが印象的だった。そして彼の仲間で、高齢の女性もそれを運転していて、実際もそういうことがあるのかなと驚いた。
「ベルリンの壁崩壊後の東ドイツにおいて最も重要で最も有名な実在のシンガー・ソングライター、ゲアハルト・グンダーマン」と紹介され、“東ドイツのボブ・ディラン”とHPに書いてあったけど、その言い方は違うような気がする。「ボブ・ディラン」とは反体制のシンボル的な存在の歌手。もしそうなら、監視の対象ということはあるだろうけど、秘密警察が彼をスパイとして利用というのはちょっとおかしいという感じもするので(暁)。


*ドイツで最も権威のあるドイツ映画賞(2019)で作品賞、監督賞含む 6 部門で最優秀賞を獲得。

2018年/HD/シネマスコープ/5.1ch/128分/ドイツ
字幕・資料監修:山根恵子
提供:太秦/マクザム/シンカ
後援:ゲーテ・インスティトゥート大阪・京都 
配給・宣伝:太秦   
© 2018 Pandora Film Produktion GmbH, Kineo Filmproduktion, Pandora Film GmbH & Co. Filmproduktions- und Vertriebs KG, Rundfunk Berlin Brandenburg
公式サイト:https://gundermann.jp/
★2021年5月15日(土)より渋谷ユーロスペース他全国順次公開



posted by sakiko at 16:34| Comment(0) | ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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