2021年04月09日

約束の宇宙(そら)  原題:Proxima

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監督・脚本:アリス・ウィンクール
脚本:ジャン=ステファヌ・ブロン
音楽:坂本龍一
出演:エヴァ・グリーン、ゼリー・ブーラン・レメル、マット・ディロン、ラース・アイディンガー、ザンドラ・ヒュラー

サラ(エヴァ・グリーン)は8歳の時に抱いた宇宙に行きたいという夢に向かって、今は故郷フランスを離れ、ドイツにある欧州宇宙機関(ESA)で宇宙飛行士としての訓練を受けている。そして、いよいよチャンスが巡ってくる。「プロキシマ(Proxima)」と名付けられた約1年間の国際宇宙ステーション滞在クルーに選ばれたのだ。物理学者の夫トマス(ラース・アイディンガー)と離婚し、7歳の娘ステラ(ゼリー・ブーラン・レメル)を一人で育てているサラにとって、1年間娘と離れることが一番の心配だ。元夫にステラを託すしかない。
出発まで、あと2カ月。サラはロシアのスターシティに移動する。初めての面会日、飛行士と家族のサポートを担当するカウンセラーのウェンディ(ザンドラ・ヒュラー)がステラを連れてきてくれる。分刻みのスケジュールの訓練の合間を縫っての面会に、ステラは寂しさのあまり、ろくに口をきかないまま帰国してしまう。サラはステラに打ち上げ前に二人でロケットを見ようと約束していた。それはちゃんと果たせるのか・・・

女性宇宙飛行士と幼い娘の母子の情を紡いだのは、『裸足の季節』(2015年)でのデニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督との共同脚本が絶賛されたアリス・ウィンクール。
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1976年フランス・パリ生まれで、脚本執筆当時、自身の娘が8歳。親子の関係を描きたいという思いを、幼いころからの宇宙への憧れと重ね合わせた物語。執筆にあたり、欧州宇宙機関(ESA)に滞在させてもらい、二人の宇宙飛行士に取材。その一人がフランス人初の女性宇宙飛行士クローディ・エニュレ。取材で目の当たりにした過酷な訓練の様子や、女性宇宙飛行士の心情が映画に反映されています。男性主導の宇宙飛行士の世界での苦労は計り知れません。女性としての存在を感じさせないように振舞わなければならない世界。一方で、我が子に愛情をふりそそぐのは、どこにでもある母の姿。宇宙に飛び立ったあと、もしかして戻って来られないかもと思うと、なおさら娘が愛おしいでしょう。
映画の最後に、実際に宇宙を体験した女性宇宙飛行士の方たちの姿が映し出されます。彼女たちに賛辞を贈るとともに、これから宇宙に挑む女性たちへのエールとなっています。
撮影は、欧州宇宙機関(ESA)全面協力の下、ドイツ、ロシア、カザフスタンの宇宙関連施設で行われ、リアルな宇宙飛行士の世界が伝わってきます。
いよいよ打ち上げを2週間後に控え、感染予防のため隔離期間に入ったサラと娘が面会する場面。ガラス戸を隔てて、実際にハグすることが出来ない姿に、今のコロナ禍の状況を重ね合わせてしまいました。手や肌のぬくもりを感じあうことの大切さをつくづく思います。(咲)


2019 年/フランス/フランス語・英語・ロシア語・ドイツ語/107分/カラー/ビスタ/5.1ch
配給:ツイン
後援:JAXA
©Carole BETHUEL ©DHARAMSALA& DARIUS FILMS
公式サイト:http://yakusokunosora.com/
★2021年4月16日(金)より、TOHOシネマズ シャンテ他にて全国ロードショー



posted by sakiko at 19:17| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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