2021年03月20日

迷子になった拳

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監督:今田哲史 
出演:金子大輝、渡慶次幸平、ソー・ゴー・ムドー、ロクク・ダリル、浜本”キャット”雄大 ほか

ミャンマーの伝統格闘技・ラウェイに賭ける人たちを追ったドキュメンタリー映画

禁じ手がほぼ許される「地球上でも最も過激な格闘技」と言われるラウェイ。拳にバンテージのみを巻いて闘い、KO以外の判定による勝敗がなく、最後まで立っていれば、二人とも勇者として讃えられる。「最も美しい格闘技」ともいわれる所以だ。
ミャンマーで古代から受け継がれてきたラウェイが、密かに日本にも上陸していた。
紛争により母国を追われ日本に行きついた者、自分自身の居場所を探し求める者、文化交流・精神性や哲学の流布に尽力した者、興行として文化活性化を目指す者…… 様々な人々がラウェイの世界に飛び込み、己の尊厳と敬愛、自己実現と欲望のためにもがき、奮闘する。
果敢にラウェイに挑戦した金子大輝と渡慶次幸平の二人に焦点をあて、日本とラウェイのかかわりを紐解いていく・・・

千年以上の歴史があり、王を守る武術、奉納儀式という説もあるラウェイ。
試合の間、会場ではミャンマーの伝統音楽サインワインが奏でられ、独特の掛け声が選手たちを鼓舞する。リングにあがり、試合の前にヤイダンス(現地ではラッウェイエ)を踊り、勝てばまた優雅に踊る。日本に武士道があるように、ミャンマーにもある美しいラウェイ道。
日本に上陸したラウェイは綺麗ごとだけではありませんでしたが、ミャンマーとの文化交流の一端を担っているのも事実。渡慶次幸平さんが、日本やミャンマーで試合に出続ける傍ら、ミャンマーで学校建設など社会貢献活動をされている姿にも感銘を受けました。
本作の撮影は、軍事政権が倒れ民主化の始まった2016年から行われましたが、今また軍事クーデターでミャンマーの人たちの将来に暗雲が立ち込めています。ラウェイに携わる人たちの運命はどうなるのでしょう・・・ 伝統をも潰すようなことがないことを祈るばかりです。
私自身、格闘技は嫌いですが、そんな人にも是非観てほしい一作です。(咲)


日本人青年の金子大輝さんが、ミャンマーの都市ヤンゴンでジムで修業をします。ジムのウィン・ジー・ウー会長が優しくまた厳しく指導していました。若い金子さんが調子に乗ると「相手へのリスペクトを忘れるな」「闘うときは獅子のように。それ以外は謙虚でいなさい」と諭します。ラウェイは神聖なものとして大切にされるところが、日本の相撲に似ています。頭突きもありますしね。なんとなくあぶなっかしい金子くんを、今田監督が親戚の子のように心配していたのがほほえましいです。監督が「ニュータイプ」と称していた渡慶次幸平さんが、ミャンマーに馴染んでいくのも頼もしい…なのに、クーデターとは!
世論が高まり、みんなが無事で、日常が戻ることを願っています。(白)



2020年/日本/カラー/110分 
配給・宣伝:SPOTTEDPRODUCTIONS 宣伝協力:MAP 
公式サイト:http://lostfist.com/
★2021年3月26日(金)より渋谷ホワイトシネクイントほか全国順次公開



posted by sakiko at 15:32| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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