2021年2月20日(土)シアター・イメージフォーラムにて公開他全国順次公開
上映情報
監督:エドガー・ハーゲン
撮影:ペーター・インデルガンド
録音:ジャン・ピエール・ジェス
編集:ポール・マイケル・セドラセック、エドガー・ハーゲン
音楽:トメク・コルチンスキー
プロデュ―サ―:ヘリクリ・バンディ
製作:ミラ・フィルム
スイス/2013年/100分
”核のごみ”を捨てる場所はみつかるのか?
原発推進論者の科学者と反原発の映画監督が
”世界⼀安全な場所”を探す旅に出る
この60年間で高レベル核廃棄物35万トン以上が世界で蓄積されてきた。それらの放射能を含む核廃棄物は、人間や環境に害を与えない安全な場所に長期に渡って保管する必要がある。しかし、そのような施設がまだ作られていないにも関わらず「核のごみ」は増え続けている。そんな中、スコットランド出身でスイス在住の核物理学者で、国際的に活動している廃棄物貯蔵問題専門家のチャールズ・マッコンビーが世界各地の同胞たちとこの問題に取り組む姿をスイス人のエドガー・ハーゲン監督が撮影。
チャールズとエドガー監督の2人は、放射性廃棄物で汚染されたアメリカ先住民居留地の神聖な山・ユッカマウンテン、イギリスのセラフィールド、中国・ゴビ砂漠、青森県六ヶ所村、スウェーデン、スイスなど世界各地の最終処分場候補地を巡る旅に出る。
未来の世代に対する今の時代に生きている私たちの責任、解決方法など、様々な問題を提起。
果たして10万年後にも安全な、"楽園"を探すことはできるのか―。
廃炉も含め約60基の原発を抱える原発大国でもある日本。2020年、北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村が最終処分場候補地として名乗りを上げ、2020年11月から文献調査が開始されているという。
●エドガー監督から日本公開に向けてのメッセージ
現在原子炉は、世界で400基ほどあり、核廃棄物を作り出しているにも関わらず、その処理方法を見つけられないまま、原子力エネルギーを生産し続けています。そこで、この問題を世界的に解決しようと取り組んでいる人々と一緒に映画を作ろうと考えました。
この問題は全世界的に渡る問題です。核廃棄物の処分方法が問題になり始めた70年代から40年近く、どう処理するかの解決方法を見つけないまま走ってしまっている問題をこの映画では追っています。この40年間の、何かを試みては失敗するという繰り返しの歴史を照らし出しています。
日本は確実にこの問題について真剣に考えないといけない国だと思っています。50基以上の原子炉があり、それと同時にたくさんの核廃棄物があり、地政学的にも地震が多かったりと複雑な問題を持っているので、この問題を真剣に考えないといけないと思っています。現在、日本では北海道の2町村が名乗りを上げています。そこが適しているかは引き続き調査が必要ですが、2つの地域が名乗りを上げることで核廃棄物について議論しようと思う事は良いことだと思います。必ずしもそれが解決方法だ、ということは簡単には言えませんが。
このタイミングで日本でたくさんの方に観て頂けることを望んでいます。日本でも議論をし、意見交換すべき作品になれば幸いです。
この狭い日本に、現在(2020年)50基以上の原発があり、建築予定の原発は16基。稼働中の原発は9基だという。あとは原発はあっても稼働していないのか? それは幸いというべきか、でもなんて無駄なことをしてくれたのかとも思う。この映画は核廃棄物の処分場が用意できていないまま、原発の建設を進めている現状が描かれている。これまでもいくつもの核廃棄物処理場をめぐる映画があったけど「核廃棄物処理」の問題は進展のないまま。
これまで、スリーマイル島(1979)、チェルノブイリ(1986年)など大きな原発事故があり、2011年の福島の事故があって、原子力に対する安全神話は崩れ、放射能の危険性がこんなに叫ばれているのに、まだ原子力事業を進めようとしている人たちにぜひ観てもらいたい。ちゃんと核廃棄物の処理の問題が解決されてもいないのに、原発の建設を進めることは人類に対する犯罪のように感じる。原発を作って、あとの処理は後の方たちよろしくと先送りにしてしては地球に対するぼうとくではないのか(暁)。
参照:原子力発電所の現状(資源エネルギー庁データ)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/nuclear/001/pdf/001_02_001.pdf
『地球で最も安全な場所を探して』というタイトルを聞いたとき、てっきり人間が住むのに安全な場所を探す話かと勘違いしました。実際には核廃棄物をいかに安全に処理するかの話です。
理系の娘が就活の真っ最中ですが、インフラ業界を志望しています。東京電力も候補の1つ。昨年の夏以降、何度も説明会に参加し、オンラインでのインターンシップ(緊急事態宣言が発令しなかったら福島で行われるはずでした)も参加しました。インターンシップでどんなことをしたのかを娘に聞いたところ、いかに安全に廃炉にするかを日々研究しているとのこと。娘は福島のコースを選びましたが、もし柏崎のコースを選んでいたら、原子力の安全な活用方法を研究している方々の話を聞くことになったそう。娘が東京電力とご縁があるかわかりません。しかし、いろいろな視点で安全に向けて必死に取り組んでいる人たちが日本にもいることを娘の就活を通じて知りました。
原子力発電は危険だから止めるべきという主張も理解できますが、電気を使わないで生活はできません。ではどうしたらいいのか。本作を考えるきっかけにして、人々が意識していくことが大事なのではないかと思います。(堀)
『地球で最も安全な場所を探して』公式HPはこちら
後援:在日スイス大使館
日本語字幕:平井かお
予告編制作:株式会社ネツゲン
宣伝美術:追川恵子
配給:きろくびと
スイス/2013年/英語•ドイツ語•中国語•日本語/カラー/DCP/100分
参考
放射性放射性廃棄物、核廃棄物の再生利用などを描いた映画
『チャルカ~未来を紡ぐ糸車~』 監督:島田恵
劇場公開 2017年8月12日
『福島 六ヶ所 未来への伝言』 監督:島田恵
劇場公開 2014年2月15日
『放射性廃棄物 終わらない悪夢』 監督:エリック・ゲレ
劇場公開 2011年10月22日
『100,000年後の安全』 監督:マイケル・マドセン
日本公開 2011年4月2日
『六ヶ所村ラプソディー』 監督:鎌仲ひとみ
2006年10月7日公開
『六ヶ所人間記』 監督:山邨伸貴 倉岡明子
劇場公開 1985年10月26日
『夏休みの宿題は終らない』監督:山邨伸貴 製作:倉岡明子
劇場公開 1990年1月29日
『田神有楽』 監督:加藤哲
劇場公開 2002年11月30日
『下北核半島からの報告 核燃料サイクル』 監督:森弘太
1988年
『海盗り――下北半島・浜関根』監督:土本典昭
1984年
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