2021年03月13日

夜明け前のうた ~消された沖縄の障害者~

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監督・撮影・編集:原 義和 
制作:高橋年男 山田圭吾 糸洲のぶ子 
ナレーション:宮城さつき
音楽:白川ミナ 
創作舞踏:Danzatakara.
製作協力:沖縄県精神保健福祉会連合会 沖縄YWCA 
製作:障害者映像文化研究所 イメージ・サテライト
プロデューサー:中橋真紀人 

「私宅監置」は1900年制定の法律に基づき精神障害者を小屋などに隔離した、かつての国家制度。1950年に日本本土では禁止になったこの制度は、沖縄ではその後1972年まで残った。原監督は、岡庭武氏が撮影した1964年の医療調査の写真に出会ったことから、被写体となった人々を探し始める。その社会的背景を考察し、法律のもと犠牲となり排除された人々の心に寄り添おうとするドキュメンタリー。

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私宅監置小屋跡

こういう法律があったなんて映画を観るまで知らずにいました。座敷牢というのは、時代劇で知っていましたが、近代に制度化されていたとは…。
原監督が出逢ったたくさんの写真は、1960年代に調査のために派遣された医師が撮影したものです。監置小屋の中からその視線が問いかけています。なぜここにいなくてはいけないのか?それは誰のためなのか?いつになったら出られるのか?
原監督にお話を伺いました。(白)


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★原監督インタビューはこちらです。

何で見たんだろう。私は沖縄の私宅監置を以前、ドキュメンタリー映画で見て知っていた。記憶を辿って探してみたのだけれど、どうしてもタイトルが思い出せない。ただ、そのときはこんなに多くの方が辛い思いをし、しかも当事者だけでなく、子や孫にまで大きな影を落としていたとは知らなかった。
日本国内では1950年に廃止された制度が沖縄では1972年まで残ってしまったのは、サンフランシスコ条約で沖縄が日本から切り離されてしまったから。日本でもアメリカでもない状況が悪しき制度を存続させた。沖縄が背負わされた悲しみは基地問題だけではなかったのだ。
今、人ならざる者を描いた作品がヒットしている。「鬼滅の刃」然り、「呪術廻戦」然り。それを非難するつもりはないが、人として扱ってもらえなかった人がいた歴史ときちんと向き合うことも忘れてはいけない。(堀)


精神障害者を小屋などに隔離した「私宅監置」。沖縄では1960年代までそういう制度があったというのをこの作品で知ったが、本州でもこの数年でこういう拘束されていた障害者の話がいくつかあったと思う。暴力をふるう障害者に対して拘束と言っているが、拘束されてしまうからよけい暴れるということもある。これは精神障害者への話だが、今も高齢者を拘束する病院がある。それはいろいろつけた診療のためのチューブなどを苦しさから外してしまう行動を避けるためだが、10年くらい前、母が脳梗塞で倒れた時、入院した大きな大学病院はその拘束をしていた。私たち子どもは、それに対して外してほしい。ほかの方法でと頼み、ミトンの手袋にしてもらい、拘束をはずしてもらったことがある。
沖縄でも、のちに拘束がなくなった人を取材していたけど、拘束をされることで、自尊心も傷つけられる。病院やほかの人の都合で拘束するというのは人権侵害ではないのか。拘束しないと犯罪に走るかもしれないという恐れもあるけど、その人の気持ちになって親身にあたるということで解決できることもあるのでは?(暁) 


2020/日本/DCP/カラー/5.1ch/97分 
配給:新日本映画社 
(c)2020 原 義和  
公式サイト:http://yoake-uta.com/
★2021年3月20日(土)より東京 K’s cinema、4月3日より沖縄 桜坂劇場ほか全国順次公開
posted by shiraishi at 15:31| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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