2021年03月06日

ワン・モア・ライフ!  原題:Momenti di trascurabile felicità  英題:Ordinary Happiness

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監督・脚本:ダニエーレ・ルケッティ(『ローマ法王になる日まで』)
出演:ピエールフランチェスコ・ディリベルト(ピフ)、トニー・エドゥアルト、レナート・カルペンティエーリ(『ナポリの隣人』)

イタリア、シチリア島のパレルモ。港で技師として働くパオロは、渋滞が大嫌い。仕事を終え、スクーターをぶっ飛ばして家路につく。交差点をいつものように右折が赤信号の数秒のうちにすり抜けようとしたが、一瞬の差でバンに撥ね飛ばされ即死してしまう。
天国の事務所は人でごった返していて、ようやく呼ばれたパオロは、「健康のためにジンジャー入りのスムージーも我慢して飲んでいたのに!」と役人に向かって駄々をこねる。「え? スムージー?」と、情報を追加し計算し直した役人から「寿命があと1時間半あった。2分オマケして92分」と言い渡される。役人に付き添われて、地上に戻ったパオロ。人生最後の92分、どうやって過ごす?

冒頭、パオロがガントリークレーンの上から眺めるパレルモの町の美しいこと! パレルモが低い山に抱かれた町なのを初めて知りました。シチリアは、9 ~11世紀にわたってアラブの支配下にあったところで、一度は行ってみたいと思っていたのですが、故郷・神戸にも似た地形だと知り、ますます訪れてみたくなりました。
その神戸の同級生で、交通事故に遭って瀕死の状態から生還、「三途の川を渡ったとこで、あんた、家族もおるし、まだやり残したことあるやろと言われて戻ってきた」という男性がいるのを思い出しました。
本作では、パオロが生きるチャンスをもう一度もらって、人生を悔い改め、それまでないがしろにしてきた妻や子と最後の時間を過ごそうとする姿がユーモアたっぷりに描かれています。
2017年、『ローマ法王になる日まで』公開の折に、ダニエーレ・ルケッティ監督にインタビュー。その中に、「人生、何度でもやりなおすことができる!」という言葉があって、本作にも通じる?とびっくり!
さて、余命がわかったら、私なら何をする? (咲)


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天国の入り口は大混雑でした。受付係が操作しているパソコンは最新型とはいえず、データの不備や計算ミスもそのせいかも。自分勝手な信号無視は棚に上げて、パオロ(高松英郎さん似)が猛抗議の末もらった92分。リアルタイムで観客も体験します。短い。
合間に今更ながら後悔ばかりのパオロの人生も御開帳。なんていい加減な男なんだ、おまけに妙なところにこだわって細かい。そんな彼の欠点も含めて愛した妻のアガタに拍手。そういう人にはなぜかいい奥さんがついて、苦労させられるんだよね。しっかりした子どもたちが育ったのは母親のおかげです。
パオロはピフことピエールフランチェスコ・ディリベルトのあてがきだそうです。すっごく人気の俳優だそうです。天国の役人は渋くて素敵なレナート・カルペンティエーリ。間違いを認め、温情も併せ持ちます。お役人はこうでなくては。懲りないパオロに笑ったり呆れたりしながら、しんみり家族愛にも浸れる作品でした。(白)


2019年/イタリア/94分/シネスコ/5.1ch/イタリア語
日本語字幕:関口英子
後援:イタリア大使館、イタリア文化会館
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム
(C)Copyright 2019 I.B.C. Movie
公式サイト:https://one-more-life.jp/
★2021年3月12日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開

posted by sakiko at 03:02| Comment(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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