2021年03月03日
野球少女(原題:Baseball Girl)
監督・脚本:チェ・ユンテ
出演:イ・ジュヨン(チュ・スイン)、イ・ジュニョク(チェ・ジンテ)、ヨム・ヘラン(スインの母)、ソン・ヨンギュ(スインの父)、クァク・ソンヨン(イ・ジョンホ)、チュ・ヘウン(ハン・バングル)
チュ・スインは青春の日々をすべて野球に捧げ、〈天才野球少女〉と称えられてきた。高校卒業を控えたスインは、プロ野球選手になる夢をかなえようとするが、〈女子〉という理由でテストさえ受けさせてもらえない。母や友だち、野球部の監督からも、夢を諦めて現実を見るようにと忠告されてしまう。「わたしにも分らないわたしの未来が、なぜ他人に分かるのか」──自分を信じて突き進むスインの姿に、新しく就任したコーチ、チェ・ジンテが心を動かされる。同じくプロになる夢に破れたジンテは、スインをスカウトの目に留まらせるための作戦を練り、特訓を開始する。次々と立ちふさがる壁を乗り越えたスインは、遂にテストを受けるチャンスを掴むのだが──。
イ・ジュヨン演じるチュ・スインは、女性だからとはじかれても決して夢を諦めずに、社会に立ち向かっていきます。イ・ジュヨンは「私が中途半端だと、映画が伝えようとしていることが色褪せてしまうのではないかと思った」と語り、撮影に入る前に約40日間の訓練に臨み、劇中の全ての野球のシーンを自らこなしました。みごと2020年ニューヨーク・アジアン映画祭で国際ライジングスター賞を受賞。
スインの父は良き理解者ですが生活力弱し。一人生活を支えて奮闘する母は超現実派。娘には堅実な生活を送ってほしくて反対します。それもわかるけれど、たった一つの夢、今しかできないことを応援してやって~。スインの前にはたくさんの壁があります。
スポーツに限らず、男性優位のあらゆる場所・場面でパイオニアとなってきた”女子”を応援します。一方別のところで「男子がするものじゃない」という固定観念もやっぱりあったはず。それを崩してきたパイオニア”男子”も応援します。(白)
チェ・ユンテ監督の長編映画デビュー作。本作のきっかけは、天才野球少女のインタビューを聞いていた奥様の「女子が野球をするのかという偏見が露骨で不愉快」というひと言だったそうです。確かに、ほかのスポーツに比べ、野球は男子がするものというイメージが強いです。チュ・スインのモチーフになったのは、1997年、韓国で初めて女性として高校の野球部に入ったアン・ヒャンミ選手。100年の韓国野球史で初めて、唯一の女性公式大会記録保持者です。日本では、2008年、吉田えりさんが17歳でプロ野球の独立リーグに合格し、日本で初めて男性と同じチームでプレーした女性プロ野球選手。
プロの選手になるのは、男性でも難関。本作でもチェ・ジンテはプロになれず、コーチとしてチュ・スインに夢を託します。野球は男子がするものという固定観念の中で、自分の力を信じて邁進するスインの姿が眩しいです。(咲)
2019年/韓国/カラー/シネスコ/105分
配給:ロングライド
(C)2019 KOREAN FILM COUNCIL. ALL RIGHTS RESERVED
https://longride.jp/baseballgirl/
★2020年3月5日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
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