2021年02月21日

ステージ・マザー(原題:Stage Mother)

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監督:トム・フィッツジェラルド
脚本:ブラッド・ヘンニク
出演:ジャッキー・ウィーバー(メイベリン)、ルーシー・リュー(シエナ)、エイドリアン・グレニアー(ネイサン)、マイア・テイラー(チェリー)

サンフランシスコのカストロ・ストリート。ゲイバーの”パンドラ・ボックス”のショータイムで、ドラァグクイーンのリッキーが倒れて息を引き取った。薬物の過剰摂取だった。突然の訃報は、テキサスの田舎で夫と二人暮らしのメイベリンに届いた。一人息子のリッキーはゲイをカミングアウトして受け入れられず、家を出ていったきり疎遠のままだった。メイベリンは夫の反対に耳を貸さず、サンフランシスコの葬儀に参列する。
リッキーのパートナーのネイサンに門前払いにあうが、リッキーの親友のシエナがネイサンとの間を取り持ってくれた。ネイサンはバーの共同経営者だったが、リッキーが急死したためメイベリンが経営権を相続することになっていたと知る。しかもバーは借金で破綻寸前だった。思いがけずゲイバーを引き継ぐことになったメイベリンは、テキサスで聖歌隊にいたことを強みにステージの改変に着手する。

この目力の強いメイベリン役のジャッキー・ウィーバーは『アニマル・キングダム』(2012)のママでした。最近では『チア・アップ!』(2019)にも出演。どこででも行動力のあるパワフルな女性を演じています。
本作では息子と和解しないまま先立たれてしまった悔恨を胸に、息子の遺したバーの立て直しに頑張ります。バーで働くドラァグクイーンたちにもそれぞれの事情があり、メイベリンはリッキーと重ねて彼らを理解し支えます。俺様な夫の期待通りにつき従う人生でなく、自分で道を選びとるメイベリンが輝いていく過程を見てください。いつでもやり直すのに遅すぎることはありません。
売れっ子のチェリー役のマイア・テイラーは、本人もトランスジェンダー。スマホで撮影された『タンジェリン』(2015)がデビュー作でした。クイーンたちの歌とダンスも楽しい、元気がもらえる映画。(白)


いろいろな生き方があっていいとわかっていても、それが我が子となると、なかなか受け入れられないもの。私の友人にも、長女が長男になってしまった人がいて、最初は戸惑っていたけれど、今では「息子がね・・・」としっかり受け入れています。メイベリンは息子が生きている間に認められなかったことを悔いますが、父親は亡くなってもなお頑として認めません。すんなり受け入れば楽になるのにと思ってしまいますが、当事者の思いは複雑ですね。
本作は、メイベリンの挑戦にも元気づけられますが。サンフランシスコの風情がとても素敵で、いつかカストロ・ストリートにも行ってみたくなりました。(咲)


2020年/カナダ/カラー/93分
配給:REGENTS
(C)2019 Stage Mother, LLC All Rights Reserved.
https://stage-mother.jp/
★2021年2月26日(金)TOHOシネマズシャンテほか全国公開
posted by shiraishi at 14:13| Comment(0) | カナダ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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