2021年02月14日

世界で一番しあわせな食堂   原題:Mestari Cheng

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監督:ミカ・カウリスマキ
脚本:ハンヌ・オラヴィスト
出演:アンナ=マイヤ・トゥオッコ、チュー・パック・ホング、カリ・ヴァーナネン、ルーカス・スアン、ヴェサ=マッティ・ロイリ

フィンランド北部ラップランドの小さな村ポホヤンヨギに降り立った中国人のチェンとニョニョの父子。食堂「シルカダイニング」に入り、チェンは客の一人一人にお辞儀して「フォントロンを探しています」と尋ねるが誰も知らない。疲れ切って寝てしまった父子を食堂の女主シルカは、自宅に空き部屋があると連れて帰る。
翌日から恩人探しをしながら食堂を手伝うチェン。ある日、中国人観光客の団体が食堂に立ち寄る。メニューに不服そうなのを見て、チェンはとっさに麺料理を作る。実はチェンは上海料理店のシェフ。妻が事故で亡くなり酒浸りになって店が傾いて困っていた時にお金を出してくれたのがフォントロンだった。恩人はなかなか見つからないが、チェンの作る料理は地元の人たちにも好評で、噂を聞いて食べに来るようになる。シルカや地元の人たちと心を通わせるようになるが、観光ビザの期限が迫り、帰国する日が近づいてくる・・・

森に囲まれた湖に、鳥の声。そして道を横切るトナカイ・・・ 自然豊かなラップランドの小さな村で繰り広げられる物語。変化に乏しいフィンランドの料理と違って、医食同源の健康にも配慮した中国料理。食文化から広がるささやかな国際交流。母を亡くし、心を閉ざしてゲームに熱中していたニョニョも次第に地元の子どもたちと打ち解けていきます。チェンも、白夜に開かれるダンスパーティーを前にシルカからダンスの手ほどきを受けて、ほのかに心を通わせていきます。
この心温まる物語を紡いだミカ・カウリスマキ監督は、アキ・カウリスマキ監督の兄。フィンランドの北部ラップランドは、35年前にミッドナイト・サン映画祭創設にも関わった地。映画祭の開催される白夜の夏と、クリスマス休暇の冬の年2回は訪れていて、数年前に中国人観光客が殺到しているのを観て、本作のアイディアがひらめいたそうです。監督は30年にわたりブラジルに住み、ドイツ、イタリア、ポルトガルでも暮らしたことがあり、異国で文化の違う人たちと接することの難しさも楽しさも身を持って経験しているのでしょう。とかく分断が見られる今の世界ですが、摩擦を避けて共存するヒントを貰える1作です。(咲)


2019年/フィンランド・イギリス・中国/英語・フィンランド語・中国語/114分/カラー/シネスコ/5.1ch/G
字幕翻訳:吉川美奈子
配給:ギャガ
後援:フィンランド大使館
(C)Marianna Films
公式サイト:https://gaga.ne.jp/shiawaseshokudo/
★2021年2月19日(金)より新宿ピカデリー、渋谷シネクイント他にて全国順次公開




posted by sakiko at 13:02| Comment(0) | フィンランド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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