2021年02月12日
モンテッソーリ 子どもの家(原題:Le maitre est l'enfant)
監督・撮影:アレクサンドル・ムロ
音楽:ダミアン・サランソン
日本語吹替:本上まなみ、向井理
”モンテッソーリ教育”とは20世紀初頭にイタリアのマリア・モンテッソーリが考案した教育メソッド。世界の140カ国以上の国に普及しているが、義務教育が徹底している日本では、西欧と違ってあまり知られていない。アレクサンドル・ムロ監督は自分自身の子育てに疑問を持ったことから、モンテッソーリ教育に着目した。フランスで最古の学校に2年3カ月に渡って通い、2歳半~6歳の28人の教室に小型カメラを設置し、注意深く子どもたちを観察した。
親も教師もつい、子どもの先へ先へと口を出して、管理したがるのが常です。その方が自分に都合がいいというのが大きな理由ではないでしょうか?じっと子どもを待つことができません。これは自省も込めて。
この映画では、子どもが自発的に考え、選択し、行動するようすが捉えられています。いきなりこうなるのではなく、少しずつ段階を踏んで子どもが学んでいきます。初めて教室に来た子が、帰っていく親の姿を窓に張り付いてずーっと見ているシーンも入っています。先生は仲間に入るように無理強いはしません。子どが興味を持つまで待っています。
初めてのことは少しやってみせて、子どもに聞かれたことには丁寧に応えます。年齢の異なる子どもたちが一つの教室にいることで、小さな子は大きな子の真似をします。真剣な表情がいじらしく、何度も繰り返してできたときの笑顔の可愛さといったら!
「子どもは“お仕事”が好き」「子どもの“集中現象”」「子どもに褒美や罰を与えない」「子育てにマニュアルなどない」などなど、大事なエッセンスが詰まった作品です。”自発的に考え、選択し、行動する”人間がたくさん育つと困るのは誰?というところは置いといて(後で考えてね)。まずはこの映画で”子どもが大きな可能性を秘めた存在”ということを胸に刻んで、自分の周りの子どもたちを見守る大人になりませんか。(白)
本作は想田和弘監督の観察映画のようにナレーション、説明テロップは一切なく、淡々と子どもたちの様子を映し出します。好きなことを集中して取り組み、大きな子が小さな子をリードしています。(きっと編集でうまくカットしているのではないかと思いますが)トラブルはほとんど見受けられません。
自由でのびのびとした幼稚園に通わせたい。娘が生まれてからいろいろ探して私が行き着いたのがモンテッソーリ教育でした。しかし、私が入園を考えたところは親の積極的な参加が求められ、縫物が絶望的に下手な私にはハードルが高く、家から車でないと通えないということもあって諦め、地元で自由保育を行う幼稚園に入園させました。そこは一斉保育をすることなく、この作品と同じように、子どもが自分のしたいことをし、先生はそれを見守ってくれる。娘は自由画帳を何冊も買うほどお絵描きをしましたが、3年間一度もお絵描きをしなかったお子さんもいるような自由な環境に、親子ともども満足することができました。担任の先生が娘たちを卒園させると、モンテッソーリの指導者になるための勉強をするといって園を退職し、2年間海外留学されたので、きっと先生なりにモンテッソーリ教育をしようとしてくださっていたのだと後から思いました。
できるならばこういった環境で子育てするのがベスト。久しぶりにモンテッソーリ教育に触れ、夏におばあちゃんになる私は孫への教育に思いをはせました。(堀)
子どもの自主性と自信を主軸にした教育メソッドを生み出したマリア・モンテッソーリ。1870年にイタリアで生まれ、1952年にオランダで亡くなった彼女は、ファシズムが台頭したイタリア、そしてスペインから2度も亡命し、二つの世界大戦を経験しています。1938年にインドを訪れ第二次世界大戦の為、約10年過ごす間に、ガンジーやタゴールとも交流。インドでモンテッソーリ教育の基本的で重要な概念である「宇宙的秩序」理論に基づく「宇宙的教育」を体系化しています。
教育とは知識を伝授することではなく、子どもの精神の発達を手助けすることという理念を、教育に携わる人も、親も胸に刻んで子どもに接するといいなと思いました。
私が受けた教育はといえば、小学校から大学まで、学校も親も自由放任! もしかしたらモンテッソーリ教育に通じるところがあったでしょうか? (咲)
2017年/フランス/カラー/105分
配給:スターサンズ、イオンエンターテイメント
(C)DANS LE SENS DE LA VIE 2017
http://montessori-movie.jp/
★2021年2月19日(金)新宿ピカデリー、イオンシネマほか全国公開
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