2021年2月11日(木・祝)Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開!
劇場情報
監督・脚本:顧暁剛(グー・シャオガン)
撮影:ユー・ニンフイ、ドン・シュー
音楽:竇唯(ドウ・ウェイ)
芸術コンサルタント:梅芳(メイ・フォン)
出演:
長男・有富ヨウフー:銭有法(チエン・ヨウファー)
次男・有路ヨウルー:章仁良(ジャン・レンリアン)
三男・有金ヨウジン:孫章建(スン・ジャンジェン)
四男・有宏ヨウホン:(スン・ジャンウェイ)
長男の妻フォンジュエン:王風娟(ワン・フォンジュエン)
四兄弟の母:杜紅軍(ドゥ・ホンジュン)
浙江省杭州市富陽。大河・富春江が流れる。美しい自然を背景に、町の近代化や四季折々の風景とともに、一つの家族の出来事、変遷を描いた顧暁剛監督のデビュー作。老いた母と4人の息子、孫娘の恋。ある大家族の四季と変わりゆく世界。
富陽地区は再開発の只中にある。顧(グー)家の家長である母の誕生日の祝宴の夜。四人兄弟の長男がやっているレストランで、母の誕生祝いの宴が開かれ、そこに集まった息子たち。老いた母のもとに4人の兄弟や親戚たちが集う。その祝宴の最中に、母が脳卒中で倒れてしまう。認知症が進み、介護が必要になった母。長男夫婦と同居することに。そこから夫婦の介護に関する葛藤が始まった。二人の娘グーシーは同僚のジャン先生と恋愛中で結婚したいのに、両親がその結婚に反対なのでこの町を出ようと考える。
漁師の次男夫婦は、30年暮らした家を立ち退くことになり、持ち船に仮住まい中。その息子に結婚話が来て、急遽見合いすることになる。
三男は離婚してダウン症の息子を育てているが、あちこちに借金があり、てっとり早く返すためなのか、違法な賭場を開いている。そのせいで借金取りが来たり、警察に捕まらないかと兄弟たちはやきもきしている。四男は何をしているのかわからないが未婚で、高齢な母の指令で?見合いさせられ、決断を迫られる。賭博がバレて三男が警察に捕まる以外は、ごく一般的な家族の出来事が水辺の街で営まれる。
登場人物は、監督自身の親戚・知人を、脚本を書く段階から考えて、アテ書きをしたそう。「製作費を節約できるという事情に加え、時代の風景を切り取ること、市井の人々の雰囲気を伝えることを大切にする思いがあったから」と、顧暁剛監督はフィルメックス2019のQ&Aで答えていた。老練な映画構想を持った映像だったので、ベテランの監督かなと思ったら、まだ若い監督だった。影響を受けた監督は、侯孝賢監督(ホウ・シャオシェン)監督と楊德昌(エドワード・ヤン)監督と言っていたけど、それを連想するような映像詩だと思った。
「現代の街の変化をいかにとらえるか考えるうちに、山水画の傑作『富春山居図』という絵巻物からヒントを得て、映画を絵巻物のように描くことを思いつきました」と振り返りながら、「侯孝賢監督の作品は、詩や散文など中国の伝統的な文人の視点で物語が組み立てられていると考えています。私自身は、文人的な視点と絵画を融合した映画を撮りたいと思いました」と語った。
劇中の音楽は中国のロック歌手、竇唯(ドウ・ウェイ。元、黒豹楽隊のボーカリスト)で、最近は伝統的な古典と現代文化を融合した新たな音楽を生み出している。顧監督がどのようにして古典を現代に落とし込もうかと苦慮していた時に大きな示唆を与えてくれたという。
「巻1終り」と出て、続編を想像させるような終わり方に監督は「この続編は必ず撮りたいと思っています」と語り、「最初からそういう構想だったわけではなく、撮影が進むうちに映画に対する考え方に変化が生まれ、このスタッフと一緒にこれからも映画と芸術を探求していきたいと考えるようになった。10年でひとつの作品として杭州の町の変化を描く構想もあり、名画『清明上河図』のように一つの長い絵巻物として見せることができればと思います」と語っていた。次の作品も楽しみな若手の登場である(暁)
母親の誕生日に血縁関係者を集めて祝宴を開く。テーブルに並ぶ料理はどれも華やかで、豊穣を意味するすずきを蒸した料理は繊細な味なのだろう。食べてみたくなる。日本ではここまでゴージャスに母親の誕生日を祝うことは珍しい(と思う)。冒頭から文化の違いを感じるが、4人兄弟それぞれの実情が浮かび上がってくると日本と変わらないものを感じる。しっかり者に見えるけれど情が薄い、母親思いだけれど生活がだらしない、婚家よりも自分の実家が大事。自分の胸に手を当てると思い当たる節がある人はいるのではないだろうか。さらに親の介護、その費用の負担、家の購入、不況下で困窮する生活、娘の結婚など家族が抱える問題はどこの国も同じ。しかし、悠久のときを流れてきた富春江と生い茂る木々を映した長回しの映像を見ていると抱えている問題の小ささを感じずにはいられない。(堀)
2019年の東京フィルメックスで、ちょうど上映の真っ最中にイランの女優さんにインタビュー。どうしても観たくて、40分中抜けながらも拝見。(寝たと思えば同じ♪)まさに絵巻物のような素敵な作品です。公開されるのが、ほんとに嬉しいです。
東京フィルメックスで審査員特別賞を受賞しましたが、授賞式の時には監督は既に帰国されていて、ビデオメッセージで喜びを語ってくださいました。
ここにその時のメッセージをお届けしておきます。(咲)
皆さーん、こんにちは。私は『春江水暖』の監督のグー・シャオガンです。あのすみません(と、ここまで日本語で)スケジュールの都合で会場で賞を受け取れずごめんなさい。審査員の人たちが『春江水暖』を選んでくださったと知って、とても光栄で嬉しく思いました。まずは出資会社に感謝します。プロデューサー、製作チーム、私の家族、サポートしてくださったすべての方々に感謝します。撮影スタッフの一人一人にはとびっきりの感謝を伝えたいです。春夏秋冬の季節を一緒に歩んでくれてありがとう。私たちは力をあわせて映画を完成させました。みんながいなかったらこの映画は存在しなかったでしょう。だからみんなに感謝します。代表して審査員の皆さんに感謝申しあげます。認めてくれてありがとうございます。最後に市山さんにも感謝します。この映画を日本に連れてきてくださってありがとうございます。
アリガトウゴザイマス。ハイ。
★東京フィルメックス授賞式の模様はこちらでご覧ください。受賞理由なども掲載しています。
☆公開直前(2/9)に、グー・シャオガン監督より日本観客へのメッセージ動画到着!
https://youtu.be/f43FKHTjWLE
各界著名人からの絶賛コメントと共に、ぜひyoutubeでご覧ください。
2019年カンヌ国際映画祭批評家週間クロージング作品
2019年東京フィルメックス審査員特別賞
予告編動画 :https://www.youtube.com/watch?v=6X84szEDkRE
YouTube: https://youtu.be/3nDt9yrBaKo
中国映画 | 2019 年 |150 分|
字幕:市山尚三、武井みゆき|字幕監修:新田理恵|
配給:ムヴィオラ
公式サイト:http://www.moviola.jp/shunkosuidan/
2021年02月07日
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