2021年02月06日

マーメイド・イン・パリ(原題:Une sirene a Paris)

マーメイド ポス.jpg

監督・脚本:マチアス・マルジウ
音楽:ディオニソス オリヴィエ・ダヴィオー
出演:ニコラ・デュボシェル(ガスパール・スノウ)、マリリン・リマ(ルラ)、ロッシ・デ・パルマ(ロッシ)、ロマーヌ・ボーランジェ(ミレナ)、チェッキー・カリョ(カミーユ)、アレクシス・ミシャリク(ビクトル)

セーヌ川に浮かぶ船のバー”フラワー・バーガー”は、祖母が始めて、母が歌い、今は父がオーナーの老舗。ガスパールは思い出が詰まったこの店の”サプライザー”を続けてきたが、失恋したばかりで興が乗らない。
セーヌ川では甘い歌声が響き、魅せられた男たちが次々と命を落としていた。ガスパールは帰り道、水辺に倒れている人魚を見つけ、連れ帰って手当をすると「ルラ」と名乗った。ルラの歌声はいくら試しても、恋を拒否するガスパールには届かない。夫を亡くした女医のミレナは、ルナの歌声が原因と気づいて、行方を追っていた。

人魚のルラは人間に痛めつけられ、たった一人で復讐を始めました。歌声に全く惑わされないガスパールは、海に戻すまでルラを匿いますが、隣人のロッシはガスパールにロマンスがやってきたと喜んで世話を焼きます。監督・脚本のマチアス・マルジウはこのロッシ・デ・パルマをあて書きしたのだとか。マチアス・マルジウ監督は才能あふれる人で、フレンチ・ロック・グループのディオニソス(音楽担当)を結成、小説も書き、それをアニメ化したのが前作の「JACK ET LA MECANIQUE DU COEUR 」。ルラの観るビデオがその一部分です。オーニングとエンディングのアニメーションも製作。美術や小物にもご注目ください。父から独立はしたようですが、子ども部屋のようなガスパールの家、アヒルちゃんいっぱいのバスルーム、彼が大切にしている宝物、思い出がスクラップされたポップアップブックを間近で観たいものです。
楽しい音楽と夢のような造形、いっときファンタジーの世界に身をゆだねて気分転換をしてください。(白)


マチアス・マルジウが、このパリを舞台にした現代のおとぎ話を紡ぐきっかけになったのは、2016年のパリの洪水。記録的な雨で大増水し、セーヌ川の土手にあがっていた魚やカモたちの中にキャットフィッシュを見つけたとき。人魚と歌手を主人公にしたロマンチックなコメディーを描きたいと思ったそうです。
セーヌ川に浮かぶ”フラワー・バーガー”は、祖母が1940年に始めたもので、レジスタンスを匿い、兵士たちが暗号を送るために録音室も作ったという設定。フロアーでは歌って踊る、人生を楽しむためのノアの箱舟なのです。おとぎ話の中で、この設定は妙に信憑性を感じます。
おとぎ話の、もう一つの小道具が、パリの町を行くトゥクトゥク(三輪車)。バックミラーがお魚の形をしていて可愛いです。(咲)



2020年/フランス/カラー/シネスコ/102分
配給:ハピネット
(C)2020 - Overdrive Productions - Entre Chien et Loup - Sisters and Brother Mitevski Production - EuropaCorp - Proximus
http://mermaidinparis.jp/
★2021年2月11日(木)ロードショー
posted by shiraishi at 10:46| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください