2021年01月10日

パリの調香師 しあわせの香りを探して  原題:Les parfums

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監督・脚本:グレゴリー・マーニュ
出演:エマニュエル・ドゥヴォス、グレゴリー・モンテル、セルジ・ロペス、ギュスタヴ・ケルヴェン、ゼリー・リクソン、ポリーヌ・ムーレン

パリ。香水調香師の女性と、離婚調停中で親権が欲しい男性が出会う。

離婚調停中のギョームは、パリの高級アパルトマンに住むアンヌ・ヴァルベルグの運転手の職を得る。24平米のワンルームでは隔週娘と暮らすのさえ難しいと指摘され、やっと得た仕事でなんとか広い部屋に引っ越したいと願っている。アンヌは仕事先に車で送迎させるだけでなく、洞窟で匂いの成分のメモをギョームに取らせたりする。そんなある日、送り届けて待機する予定だったパーティに同席することになる。そこでギョームは、アンヌがかつてディオールの香水“ジャドール”をはじめ数々の名作を作った天才調香師だと知る。4年前に突然嗅覚障害に陥り、地位も名声も失い、嗅覚を取り戻すも、今は地味な仕事のみを請け負っているのだ。心を閉ざし、人との関わりを持たずにいるアンヌに、率直にものを言うギョーム。心をほだされ、アンヌは再び香水を作りたいと願うようになるが、また嗅覚を失ってしまう・・・

これまで全く違う世界で暮らしてきたアンヌとギョームの出会い。挫折して、心を閉ざしてきたアンヌが、また挑戦してみようという気持ちになったのは、ギョームのちょっとした言葉でした。ギョームもまた、アンヌから娘との関係のことで良いヒントをもらいます。私たちの人生にも、そんな出会いの積み重ねがあることを思い起こさせてくれます。

それにしても、香水調香師という仕事、嗅覚を失うというのは致命傷ですね。 『パフューム ある人殺しの物語』は、2007年製作のドイツ映画ですが、やはりパリを舞台にした超人的な嗅覚を持つ男が香水調香師に弟子入りするという話でした。香水というとフランスというイメージがあります。日本人はどちらかというと、無臭が好みではないでしょうか。自分の匂い(臭い!)を消してくれるようなものがあればと思うほど! と、余計なことを思ってしまいましたが、本作、エマニュエル・ドゥヴォスとグレゴリー・モンテルのかもし出す匂いがなんとも素敵です。(咲)


大人になり切れない男と女が出会う。互いに相手に欠けているものを補ってあげることで、それぞれが今までの自分の生き方を見つめ直す。そして新しい一歩を踏み出していく。いくつになっても人生はリセットできることを改めて感じさせてくれる作品です。下手に恋愛を絡ませずにハッピーエンドに繋げた監督の演出は幅広い層に共感を呼ぶのではないでしょうか。
ところで、アンヌの仕事が興味深いです。調香師の仕事は香水などの香りを作ることだと思っていましたが、アンヌはさまざまな場面で香りを変えて異臭を消す依頼を受けていました。もしかすると私たちの生活のすぐそばにも、アンヌのようなプロフェッショナルの仕事によって心地いいものに変えられているものがあるのかもしれませんね。(堀)


2019年/フランス/フランス語/101分/シネスコサイズ
配給:アットエンタテインメント
公式サイト:http://parfums-movie.com/
★2021年1月15日(金)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開


posted by sakiko at 12:19| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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