2021年01月09日
恋する遊園地(原題:JUNBO)
監督・脚本:ゾーイ・ウィットック
出演:ノエミ・メルラン(ジャンヌ)、エマニュエル・ベルコ(母マーガレット)、バスティアン・ブイヨン(マルク)
内気なジャンヌは遊園地のミニチュアを作るのが好き。子どもの頃から通っていた遊園地の夜間スタッフとして働き始めた。母マーガレットはジャンヌの父とは別れてしまったが、いつも恋人がいて奥手な娘を心配している。遊園地のアトラクション”ムーブ・イット”に出会ったジャンヌは、煌々とライトに照らされた美しいボディに一目ぼれしてしまった。「ジャンボって呼んでいい?」と思わず語りかけると、それにこたえるかのようにライトが点滅した。心が通い合ったと感じたジャンヌは、毎日ジャンボに会うのが楽しみになる。
遊園地のアトラクションに恋してしまった女性のラブ・ファンタジーって?!と興味しんしん。ジャンヌを演じるのは『燃ゆる女の肖像』でモデルの女性と恋に落ちる女流画家を演じたノエミ・メルラン。ドレス姿からジーンズの内気な娘に変っていて、すぐにはわかりませんでした。なんと不思議なストーリー!と思ったら、エッフェル塔に恋して結婚式まで挙げてしまったアメリカ人女性がいて、その新聞記事に着想を得たのだそうです。現実は映画よりも奇なりでした。
恋愛体質の母親はエマニュエル・ベルコでした。この方は『バハールの涙』(2018)で隻眼の女性ジャーナリストを演じていました。8日に公開の『ハッピー・バースデー 家族のいる時間』では、お騒がせ長女クレール役。今回は「機械に恋するなんて!娘がおかしくなった!」と騒ぎ立てるのですが、それをなだめる彼氏がいいです。ファンタジー+人情劇。ジャンヌとジャンボとの情交?シーンありR15+。(白)
主人公のジャンヌが恋に落ちるアトラクション“ジャンボ”は制作陣がフランスでイメージ通りのアトラクションを見つけて撮影地となるベルギーへ移動させ、1年かけてカスタマイズしました。作品内では人気のないアトラクション扱いを受けますが、ジャンヌとの夜の逢瀬(?)のときは電光が煌びやかで乗ってみたくなります。
ジャンヌはもともと遊園地好きで、自分の部屋を遊園地のように飾り立てていました。仕事も夜の遊園地のアフターケア。母の車で勤務する遊園地に出勤するのですが、冒頭のそのシーンがあり、ジャンヌには父親がおらず、恋愛体質の母親に振り回されてきたことが伝わってきます。親の愛に飢えていたジャンヌが家族連れの多い遊園地に魅かれるというのは渇望する愛情の裏返しでしょうか。
本作の主人公はジャンヌですが、母親がジャンヌのことを受け入れ、愛情を示してあげることの大事さに気づくまでを描いた作品でもあるかもしれません。(堀)
2019年/フランス、ベルギー、ルクセンブルク/カラー/シネスコ/94分/
配給:クロックワークス
(C)2019 Insolence Productions - Les Films Fauves - Kwassa Films
http://klockworx-v.com/jumbo/
★2021年1月15日(金)より新宿バルト9ほかにて公開
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