2021年01月03日

ジャスト6.5 闘いの証  原題:metri shesh va nim  英題:Just 6.5  

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監督:サイード・ルスタイ
音楽:ペイマン・ヤズダニアン
出演:ペイマン・モアディ(『別離』)、ナヴィド・モハマドザデー(『ウォーデン 消えた死刑囚』)、ファルハド・アスラニ

麻薬依存者であふれる大都市テヘラン。
麻薬撲滅警察特別チームのサマド(ペイマン・モアディ)は、末端の売人たちを検挙する。多くはホームレスや貧しい者たちだ。やがて、元締めがナセル・ハクザド(ナヴィド・モハマドザデー)だと突き止める。彼が潜む贅を尽くしたホテルのペントハウスに検挙しに行くが、ナセルは自殺を図っていた・・・

家庭に問題を抱えた麻薬捜査官が、貧しい家から這い上がって麻薬王となった男を問い詰める・・・  息もつかせぬスピーディな転回。そんな中で、麻薬捜査官、麻薬王、そして末端の貧しい売人、それぞれの家族のことも丁寧に描いています。
タイトルにある6.5は、麻薬捜査官が「僕が警察に入った頃は、100万人だった麻薬中毒者が、今や650万人で、6.5倍になった」と嘆く言葉に由来しています。イランの人口が、約8000万人ですから、1割弱。
イランで大ヒットした娯楽大作ですが、イランの抱える社会問題をしっかり訴えています。イランが家族の絆の強い社会であることも垣間見れます。とにかく面白い! (咲)

2019年の東京国際映画祭コンペティション部門で、最優秀監督賞と最優秀男優賞をダブル受賞。

東京国際映画祭『ジャスト 6.5』 2019年11月2日  記者会見 及び Q&A(咲)
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/471578510.html

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サイード・ルスタイ監督(左)と、麻薬王を演じたナヴィド・モハマドザデーさん(右)にインタビュー。二人は大学時代からの親友。インタビュー中もじゃれあう息の合う二人でした。(景山咲子)



2019年のTIFFの最終日近くなってからEXシアターで観ました。コンペ作品1本目でしたが、映像、俳優、テンポ…とにかく迫力満点の作品で、観終わって「これは受賞する!」と思ったものです。終了後サイード・ルスタイ監督(まだ30歳でした)と麻薬で成り上がったナセル役のナヴィド・モハマドザデー(余裕しゃくしゃく)のQ&Aを聞きました。あの膨大な台詞を俳優にあて書きしたそうです。すごく説得力があったのはそういうことかと納得です。
『別離』でも主演だったサマド刑事役のベイマン・モアディからはビデオメッセージが届き「撮影のために来日できず残念」とのこと、こちらも残念でした。やっと公開になります。ぜひご覧ください。(白)


こんなイラン映画、初めて観た。これまで日本に入ってきたイラン映画は文芸的なもの、前衛的なもの、社会派的なもの、芸術的なものがほとんどだったけど、犯罪もの、エンターティメント的なものはほとんどなかった気がする。やっぱりイランでも一般の観客はこういう作品を観ているのですよね?(暁)

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2019年東京国際映画祭最優秀男優賞ナヴィド・モハマドザデーさん

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笑顔のナヴィド・モハマドザデーさん

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2019年東京国際映画祭最優秀監督賞サイード・ルスタイ監督  (撮影 宮崎暁美)


イラン国内における麻薬事情に驚くとともに、警察内部の状況にも唖然としてしまいました。コロナ禍では考えられないような過密な留置所。いえ、コロナ禍でなくてもこれはダメでしょう。座ることもままならないほど容疑者が詰め込まれていました。麻薬犯罪撲滅のためとはいえ、イランにおける人権意識の低さを強烈に印象付けられました。この状況って本当なんでしょうか!
さらに麻薬撲滅警察特別チームのサマドたちも互いに信頼関係を築けていません。油断すると足元をすくわれ、犯罪者の方に追いやられます。誰もが生き残るために必死にもがいています。最後までどうなるのか、予想ができず、ハラハラドキドキの連続です。(堀)


イラン2大傑作犯罪映画 同時上映!
『ジャスト6.5 闘いの証』&『ウォーデン 消えた死刑囚』

2019年/イラン/ペルシア語/134分/カラー
配給:オンリー・ハーツ
後援:駐日イラン大使館文化参事室
公式サイト:http://just6.5andwarden.onlyhearts.co.jp/
★2021年1月16日(土)新宿 K's cinema ほか全国順次ロードショー




posted by sakiko at 19:04| Comment(0) | イラン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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