監督・脚本:山田篤宏
撮影:今井哲郎
音楽:佐藤望
出演:吉沢亮(清田英一)、若葉竜也(浅川 陸)、落合モトキ(磯野達也)、寛 一郎(中島透)、馬場ふみか(磯野栞)、川島潤哉(山崎新一)、永岡佑(堀亮太)、森矢カンナ(山内ひろみ)、中村まこと(清田英作)
幼いころから将棋の才能を見込まれ、プロ棋士になることを夢見て邁進してきた清田英一。同じころその天才ぶりを発揮している浅川陸がいた。彼に敗北した英一はプロになることを諦め、目標のないまま大学生活を送っていた。ところが、たまたま父親のコンピュータゲームの将棋を覗いて、その面白さに目覚める。自分でプログラムを作ってもっと強くしてみたいと、大学の人工知能研究会に飛び込んだ。変わり者の先輩磯野にしごかれた英一は、将棋で鍛えた記憶力と洞察力でたちまちプログラミングをモノにしていく。数年後開発したソフトを「AWAKE」と名付け、コンピュータ将棋の世界でトップとなった英一は棋士との対決を提案される。相手はかつてのライバルで、今や棋界きっての若手強豪となった浅川陸だった。
2015年に実際にあった将棋電王戦(※)をヒントにして構築した山田篤宏監督のオリジナルシナリオは、第1回木下グループ新人監督賞グランプリに輝きました。主演に吉沢亮、ライバルの天才棋士に若葉竜也、英一が信頼する磯野先輩を落合モトキ、良き俳優を得て、劇場映画デビューを飾りました。映画は英一と陸の子ども時代から将棋にかけてきた日々、英一が挫折してから別の道で再起を図るところ、そして対決までを丁寧に見せています。
将棋以外の体験がなく人間関係に不器用な英一を吉沢亮が体現しました。少女漫画の王子様がぴったりの端正なルックスですが、様々な感情が渦巻くようすを表情で見せています。熾烈な戦いの続く作品『キングダム』(2019)の若き王と影武者の二役を演じた姿が重なりました。静かに考えている場面が多く、台詞が極端に少ない陸を演じた若葉竜也は、着物での所作や指し手の動きが美しく、チビ玉の片鱗が残っているのかもしれません。磯部先輩が寡黙な二人の何倍も台詞がありました。緊迫した対局シーンと別のお休みどころになっていました。
完成報告会見に参加しまして只今書き起こし中です。「吉沢君が死ぬほど暗かった」という若葉君発言がありましたが、そのへんも(笑)。吉沢君は終始笑ってウケていましたので、ご心配なく。もうちょっとお待ちください。
完成報告会見は12月24日18時以降からご覧になれます。こちら。(白)
※2015年に行われた将棋電王戦FINAL第5局、阿久津主税八段 VS AWAKE戦。開始からわずか49分、21手という異例のスピード決着となった。将棋プログラム・AWAKEの開発者は、元奨励会員という経歴の持ち主、また、棋士の手がコンピュータの弱点をついたものであったことから、当時、ネットユーザー、将棋ファンの間で物議を醸した。
2019年/日本/カラー/シネスコ/119分
配給:キノフィルムズ
(C)2019「AWAKE」フィルムパートナーズ
http://awake-film.com/
★2020年12月25日(金)新宿武蔵野館ほか全国ロードショー