監督:増田浩、房満満
撮影:岡本央
音楽:岩代太郎
語り:高橋惠子
何の変哲もない ちいさな小学校。
よくみると 無いものが たくさんあります。
広い校庭もない。チャイムも鳴らない。 いろんな儀式も形式もない。 教科書も使わない。
そして この学校にしかないものも、 たくさんあります。
物怖じしないで発言し どんなことでも話し合い
活き活きと 自然に伸びゆく子どもたち。
子どもたち 一人ひとりを見つめ、 一緒に歩む先生たち。
みんなを包んで 豊かに流れる時間。
考えてみれば、これって 本来は「あたりまえ」のこと。
「あたりまえ」って とっても大事。
世田谷の和光小学校に一年間製作チームが通いました。子どもたちと先生、毎日の授業や遊びや行事を丁寧に追ったドキュメンタリーです。この映画のHPの冒頭をそのまま引用しました。先生たちが子ども一人ひとりを見て、待つ姿勢があります。子どもたちはああしろこうしろと指図されなくても、必要なことを身につけていきます。自分の頭で考えて判断し、口に出してほかの人と話し合う。生きていく上で一番大切なことじゃないでしょうか?大人になったら自分の子どもを通わせたい、と言う子どももいます。
誰もが通える公立小学校で、子どもたちみんながこんな風に過ごせたらいいのに、と思います。それが他ではできないのはなぜなんだろう?と気づいただけでも、観る価値がありました。(白)
東京、世田谷区の私立和光小学校を描いたこの映画は日本で一番遅い入学式から始まる。ここでは入学式は先生でなく生徒たちが考え、会場の飾り付けやプレゼント作りを分担して準備する生徒たち手作りの入学式だから遅くなると解説が入る。厳粛な入学式ではなく、上級生たちの暖かい笑顔や、歌、踊りで迎えられる。最初から公立の学校と違う。
そして授業。教科書を使わないユニークな教育で知られる和光小学校では子どもたちの自主性を何よりも大切にする。教科書は配られるけれどほとんど使われないらしい。独自の教育哲学に基づいた教育を実践する同校では、広い校庭やチャイムなど「ない」ものがたくさんある。授業も学校生活も全て手作りで行われ、子どもたちは物怖じせずに発言し、どんなことでもクラス全員で話し合う。そんな生徒たちを、先生は見守り生徒の自主性にまかせる。そして必要だなと思ったところで助言する。運動会も全て子どもたちが仕切り、「行進」や「来賓の祝辞」などは無く、色分けしたチームの対抗戦で熱く盛り上がる。
6年生の総合学習のテーマは「沖縄」。自然や文化・歴史から基地問題まで広く学び、秋の学習旅行で現地を訪ねる。「沖縄」のことを知ることで、現代日本の抱えるさまざまな問題のつながりを知り、旅先の沖縄で生徒たちは話し合い、沖縄の抱える問題が、けっして自分たちと無関係でないと理解を深めた。それだけでなく、沖縄の文化を知り、沖縄の歌や踊りを卒業式で披露もする。小学生たちが自主的に、物事をこなしている様は見事でした。こんな風に学ぶことで、主張するだけでなく人の痛みを知る人間が育っていくんだなあと思い、こういう教育が広がっていくといいのになあと思ったドキュメンタリーでした(暁)。
2020年/日本/カラー/DCP・Blu-ray/101分
配給:パンドラ
© テムジン
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★2020年12月19日(土)ユーロスペース
2週目ゲストも決定!! 10:00~の1回目上映終了後
12月27日(日) 岩代太郎さん(和光小学校卒業生/作曲家)
今から約10年前に卒業した和光小学校が、今も「答えのない疑問」に挑み続けている姿に、胸が熱くなりました。 岩代太郎(作曲家)
●ユーロスペース 初週タイムテーブル
12月20日(日) 10:00/12:20/15:10
12月21日(月)~25日(金) 10:00/12:15/14:30
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