2020年12月08日
ネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢(原題:The High Note)
監督:ニーシャ・ガナトラ
脚本:フローラ・グリーソン
出演:ダコタ・ジョンソン(マギー)、トレイシー・エリス・ロス(グレース)、 ケルビン・ハリソン・Jr.(デイヴィッド)、アイス・キューブ(ジャック)
大物歌手グレースの下っ端アシスタントとして、日々雑用に追われるマギー。地方のラジオ局でDJをしている父のもとで培ったおかげで、音楽を聴き分ける耳がある。いつか音楽プロデューサーになりたいと、ひそかにリミックスを作っては憂さを晴らしている。
グレースはすでに功成り名遂げた重鎮だけれども、新曲への意欲も失っていない。マネージャーはツアーの日々をやめてラスベガスでの長期公演を薦めるが、現役から引退するような気がして頷けない。マギーはそんなグレースを見て、ついアシスタントの立場を忘れてしまう。
この主人公のマギーを演じたダコタ・ジョンソンの両親は、ドン・ジョンソンとメラニー・グリフィス。素晴らしい歌声を聞かせるグレース役のトレイシー・エリス・ロスの母はダイアナ・ロス。親の良いところを受け継いで、七光りだけでなくさらに努力して自分の魅力として生かしてきたのでしょう。
ケルビン・ハリソン・Jr.は『ルース・エドガー』と『WAVES/ウェイブス』で主演をつとめ、一躍注目の若手となりました。本作ではマギーを魅了する歌声を披露していますが、ピアノもトランペットも演奏するのだそうです。おまけにイケメンで、天はいくつもギフトをくれたようです。
誰かと一緒に劇場に行ったら観終わって「良かったね~」と言いたくなりますよ。突っ込みなしで。まさに「これぞ映画!」な映画です。
しかし、アシスタントってたくさんすることがあるんですね。おまけに何人もいる。気が利かなくては務まりません。忘れ物と無くし物の多い私には絶対できないわ。(白)
タイトルから主人公は2人のように思えますが、実は夢を叶えようとするのは3人。それぞれの夢を2人で叶えようとするのです。
ハリウッドの音楽業界に君臨する歌姫グレースの付き人として働くマギーは、ずっと憧れてきた人の下で働けていることを幸運と感じながらも、音楽プロデューサーになる夢を諦めきれません。過去のヒット曲のリミックスではなく、新作のアルバムを出したいグレースを勝手に後押ししようとして出しゃばったことをしてしまい、非難されます。そんなときマギーはアーティスト志望の青年デヴィッドに出会い、プロデューサーだと偽って彼をプロデビューさせようとします。
マギー、グレース、デヴィッド。それぞれが夢を叶えるために奮闘し、挫折を味わい、再び立ち上がる。コロナ禍の今、どんな状況でも夢は諦めなくてもいいと元気をもらえること請け合いの作品です。(堀)
日々アシスタント業務に明け暮れながら、音楽業界で自分の居場所を切り開きたいマギーには、脚本を書いたフローラ・グリーソンの若い時の下積み時代が投影されています。トップスターとして君臨するのも、男性ではなく女性をあえて据えたフローラ・グリーソン。映画化が決まり、プロデューサーが監督として選んだのがニーシャ・ガナトラ。フローラはニーシャのことを「彼女は女性がどのように働き、女性同士がどのように支えあっているかを、繊細に、面白く、魅力的に描くのが上手い」と語っています。
社会で確固たる成功した居場所を得る女性は、残念ながらまだまだ少ないけれど、頑張れば夢は叶うという元気を貰える物語。マギーとグレースが、とても輝いていて素敵です。(咲)
ハリウッドのことはよく知らないので、主人公を演じた二人の女優さんがどんな活躍をしてきたかとか、二人の両親も映画や音楽で活躍してきた芸能一家だということはよく知らなかった。でも、ダイアナ・ロスの名前くらいは知っている。アメリカも二世俳優がけっこういるのだなと思った。トレイシー・エリス・ロスは、本業は歌手ではなく、女優やファッションデザイナーとのことだけど、なんと歌がうまいんだと思った(本人が歌っているのよね?)。やっぱり血筋なのかな。
音楽業界での話しではあるけど、ベテラン歌手がかつてのヒット曲で生きているというのは、日本でも中尾ミエが「1曲ヒット曲があれば、それで一生食べていけるのよ」と言っていたけど、やっぱりどこの国でもそうなんだと思ってしまった。私自身のファン心理として、やっぱりファンである歌手のコンサートに行ったとき、新しい知らない曲より、古いなじみのある曲を歌ってくれないかなとどこかで思っている。それでも新しいことに挑戦する姿勢は応援する。きっとファンならそう思うんじゃないかな。二人の挑戦に賛辞を送りたい。成功しないかもしれないけど、やはりその気持ちが勇気を与えてくれる(暁)。
2020年/アメリカ、イギリス合作/カラー/シネスコ/114分
配給:東宝東和
(C)2020 UNIVERSAL STUDIOS
https://www.universalpictures.jp/micro/next-dream
★2020年12月11日(金)ロードショー
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