監督・撮影:坂口香津美
プロデューサー:落合篤子
編集:坂口香津美、落合篤子
音響:山下博文
出演:山内きみ江、山内定、中村賢一、斉藤くるみ、中島萌絵、佐川修
差別と偏見は、なぜ繰り返されるのか?
東京都東村山市にある国立療養所多磨全生園を舞台に、国による非人道的な終身隔離政策により、強制的に入所させられたハンセン病の元患者の人々を9年間撮影したドキュメンタリー映画。
入所当初絶望して自殺した人もいれば、自暴自棄になって暴れ、懲戒房に入れられる人もいる。施設の中で患者同士が伴侶を見つけて結婚するときは、男性が断種手術をしなければならず、もし女性が妊娠していれば否応なく中絶。患者の人権などなかった時代だった。2020年8月1日現在、同園の入所者数は、139人(男63人、女76人)で、平均年齢86.8歳。(同園入所者自治書記室調べ)
2009年11月から9年後の2019年5月まで、坂口監督は多磨全生園でビデオカメラを回しました。若くして発症して、家族から引き離された後の体験を語る人たち。内容は壮絶で、らい予防法をよりどころに患者の人権など無視した政策がなされていたことがわかる告白です。どんなにか辛かったはずですが、そんな目に遭うのも病気のせい、と自分に言い聞かせて来られたのでしょう。重い口を開いてくださった方から、今言っておかねばという悲痛な思いと、静かな気迫が感じられました。
効果的な新薬が開発され、ハンセン病は治る病気だと認知されても、隔離政策は変わらず。ようやく1996年にらい予防法が廃止されましたが、隔離施設から完治しただれもが故郷に帰れるわけではありませんでした。差別と偏見が根強く残る中、社会的復帰は簡単ではなく、大半は施設にとどまり、高齢となって最期を施設で迎えています。(白)
国立ハンセン病資料館のQ&A http://www.hansen-dis.jp/kids/qa.html
2020年/日本/カラー/90分
配給:スーパーサウルス
https://supersaurus.jp/gaika/
★2020年11月28日(金)シアター・イメージフォーラム、2021年陽春名古屋シネマテークにて公開
クラウドファンディング実施中(2021年1月14日まで)
https://motion-gallery.net/projects/gaikamovie
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