監督:武正晴
原作・脚本:足立紳
撮影:西村博光
音楽:海田庄吾
主題歌:石崎ひゅーい「Flowers」
出演:森山未來(末永晃)、北村拓海(大村龍太)、勝地涼(宮木瞬)、瀧内公美(明美)、熊谷真実(兼子)、水川あさみ(佳子)、冨手麻妙(愛)、萩原みのり(加奈)、風間杜夫(幸三郎)、柄本明(作郎)ほか
崖っぷちボクサー・末永晃には一度は手にしかけたチャンピオンへの道があった。その栄光が忘れられず、今も”かませ犬(=アンダードッグ)”になり果てながらボクシングにしがみつく日々を送っている。幼い息子の太郎に父親としての背中すら見せてやることができずにいるが、新たな出会いが這い上がる闘志をよみがえらせた。
児童養護施設で晃と出会い、ボクシングに目覚めた大村龍太は、 若き天才ボクサーとして期待されているが、過去の事件が将来に影を落とす。もう一人、大物俳優の息子の宮木瞬はお笑いも半人前の芸人ボクサー。テレビ番組の企画でボクシングに挑むが、二世タレントとしてではない、自分を証明するかのように練習に打ち込んでいる。
ひとあし早く東京国際映画祭のオープニングを飾った本作、休憩時間を挟んで前後篇が一挙上映されました。三人三様の夢を取り戻し、その手に掴むことができるのか?皆様ハラハラ見守ったことでしょう。劇場公開は前編、後編それぞれで同日公開となりました。長めの作品なので、その方が鑑賞しやすいですね。しかし、すぐに続きを観たくなること必至です。
ポスターからすごい形相の森山未來さん、あの細い身体のどこから?と思うほどの熱量を発散しています。痛い思いをしつつやるせなさとお笑いも演じた勝地涼さん、先輩二人に必死でくらいついていっただろう北村拓海さん、三人ともすごい。
武正晴監督&足立紳一脚本コンビが久しぶりにボクシング映画を作ったのですが、一番にスケジュールをおさえたのが『百円の恋』でも登場したボクシングトレーナーで俳優でもある松浦慎一郎さんだったそうです。私には『かぞくへ』(2018)の旭さんなんですが『あゝ、荒野』(2017)でもボクシング指導をしています。本作ではボクシング指導のほか、龍太のトレーナーとしても出演(写真右端)、試合中に聞こえるのは両者のセコンドの声です。松浦さんがずっと龍太へかけ続けている声は本物、プロ!ですねぇ。(白)
対戦相手からも観客からも敗北を期待されている“咬ませ犬”に成り下がっても引退しないボクサーの末永、可能性あふれる若き天才ボクサーの大村、鳴かず飛ばずの芸人ボクサーの宮木。三者三様の理由でリングに上がりますが、本気の闘いは命の危険さえ伴います。
しかし、闘うのは彼らだけではありません。末永の息子は父親がチャンピオンになると信じ、父親に隠れて思い切った行動に出ます。宮木の恋人は宮木と父親が関係を修復するきっかけを作りました。末永と腐れ縁のデリヘル店の店長は女の子たちをことごとく引き抜かれ、経営が傾いた店を立て直すために“男”になろうとします。大村の妻は夫のために末永に会いに行きました。みんなが自分のリングに上がって勝負をかけるのです。
もちろんすべてがいい結果となって返ってくるわけではありません。しかし、その前向きな気持ちと行動は確実に未来への希望に繋がっていく。作品からそんなメッセージを受け取りました。(堀)
2020年/日本/カラー/ビスタ/前編131分 後編145分
配給:東映ビデオ
(C)2020「アンダードッグ」製作委員会
公式HP:http://underdog-movie.jp/
公式Twitter:@Movie_UNDERDOG 公式Facebook @movieunderdog #アンダードッグ
★2020年11月27日(金)よりホワイトシネクイント他にて[前・後編]同日公開ロードショー
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