監督:内山拓也
脚本:内山拓也、細川岳
撮影:四宮秀俊
出演:藤原季節(石井悠二)、細川岳(佐々木)、萩原みのり(ユキ)、遊屋慎太郎(多田)、森優作(木村)、小西桜子(一ノ瀬)、河合優実(苗村)、井口理(King Gnu)、鈴木卓爾(佐々木正和)、村上虹郎(須藤)
俳優になるため上京した石井だったが、今もくすぶったまま。彼女のユキとも別れたが、同居はまだ続いている。高校時代の同級生の多田と再会し、話題にのぼったのは「佐々木」だった。学校にとっては問題児だったかもしれないが、常に周りを巻き込んで面白がらせてくれるヒーロー。石井や多田には、いつまでも心の中にいる忘れられない存在だった。
細川岳さんの高校時代の同級生のエピソードが元になっています。内山監督とぶつかりながら、細川さんが「どうしてもこの映画を撮っておきたい!」と粘った気持ちが伝わる作品です。
遥か昔になった自分の高校生活を振り返ってみると、あれこれ忘れられない瞬間や思い出が残っていて、もう取り戻せない日々がたまらなく懐かしくなることがあります。そろそろ同窓会名簿にも「物故合掌」の文字が見えるようになりました。こうやって思い出に光を当てられるなら、誰の心の中にもしまわれている自分だけの「佐々木」に再会できます。
細川さんは、自分のヒーローだった佐々木を演じ終えて「抜け殻にならなかった?」とちょっと心配になるほどの熱演です。ラストは佐々木への「はなむけ」でした。(白)
佐々木は細川岳さんの高校時代の同級生がモデル。細川さんにとってヒーローだった人とのことですが、ご本人にとってはどうだったのだろう? 佐々木が人知れず、内面に葛藤を抱えていたことがびんびんに伝わってきて、無理して明るく振る舞っていたようで、観ていて切なくなってきます。いや、それも含めて、細川さんにとってのヒーローだったのでしょう。悠二は別れた彼女への想い、鳴かず飛ばずの俳優から抜け出せない焦りなど様々な負の感情に苛まれています。藤原季節さんがそのやるせなさを熱演!
私が注目したいのは悠二の元カノを演じた萩原みのりさん。酔った勢いで…、それなのに…という状況をやってはいけないことだったと(役柄的に)自覚し、詫びを入れているシーンを繊細に演じていました。萩原さんは『アンダードッグ』『花束みたいな恋をした』にも出演しています。時代が萩原さんに向いてきたのかもしれません。(堀)
2020年/日本/カラー/シネスコ/119分
配給:パルコ
(C)映画「佐々木、イン、マイマイン」
https://sasaki-in-my-mind.com/