2020年11月19日

タネは誰のもの

2020年11月13日よりアップリンク渋谷で緊急公開! 上映情報

A4chirashi_omote_OL_trim.jpg


監督・撮影・編集:原村政樹
プロデューサー:山田正彦
映像技術:宮崎諒
整音:丸山晃
音楽:鈴木光男
語り:江原啓之

2018年4月、種子法廃止
そして2020年10月、種苗法改定案の国会審議が再び始まる
急速なグローバル化の中であらためて問われるタネの権利とは


2020年6月に国会成立が見送られ、現在、審議中の種苗法改定の動きに対して賛否が渦巻く中、自家採種・自家増殖している農家と種苗育成農家の双方の声を伝えるため、北海道から沖縄まで様々な農業の現場を取材している。政府が拙速に改定を成立させようとしている中、種苗法改定(案)が日本の農業を深刻な危機に陥れる可能性を、専門家の分析も含め農業の現場から探った。
近年、日本で開発した、高級ブドウ・シャインマスカットやイチゴなどの品種が、中国や韓国に流出し、安い値段で流通していることが契機になったというが、その裏で種や苗の自家採取、自家増殖が禁止になろうとしている。この種苗法が成立し、自家採取、自家増殖が禁止になれば、農家は毎年大量の種や苗を買うか、開発者に許諾料を支払わなければならなくなる。農家自身での増殖が禁止になっていいのか。問い直す内容になっている。種や苗のグローバル化が人々の生活にもたらすものとは? 海外の大企業からの種を買わざるを得なくなるのではないかということも暗示し、「タネの権利」とは何かを問う。弁護士で元農林水産大臣の山田正彦さんが「日本の農家、農業はこういう形になっていいのか」という疑問点から、広く日本人に考えてほしいと、この映画製作を思いつきプロデューサーを務め、『いのち耕す人々』『天に栄える村』『お百姓さんになりたい』『武蔵野』など農業をテーマにしたドキュメンタリー作品を数多く手がけてきた原村政樹監督に製作を依頼した。
映画は、山田正彦プロデューサーが、静岡(函南町)、茨城(笠間市、大洗町)、北海道(芽室町、北竜町、当麻町)、種子島、栃木(大田原市)、埼玉(三芳町)、広島(東広島市)など各地を回って、農業や種苗作りに関わる人たちに話を聞く姿を追っている。

公式HPより
監督 原村 政樹(はらむら・まさき)
1957年、千葉県生まれ。大学卒業後、フリーの助監督を経て1988年に桜映画社に入社。同年、アジアの熱帯雨林破壊問題をテーマにした短編映画 「開発と環境」で監督デビュー。以後、記録映画やテレビドキュメンタリーを多数手掛ける。主な作品に『海女のリャンさん』(2004年)、『いのち耕す人々』(2006年)、『天に栄える村』(2012年)など。2015年、『無音の叫び声』制作を機に、フリーの監督として独立、『武蔵野』(2017)、『お百姓さんになりたい』(2019)を製作。

プロデューサー 山田正彦(やまだ・まさひこ)
長崎県生まれ。弁護士。1993年に衆議院選挙で初当選、2010年6月には民主党政権下で農林水産大臣に就任。2012年に離党して反TPP・脱原発・消費税凍結を公約に日本未来の党を結党。現 在はTPPや種子法廃止の問題点の現地調査や各地で講演会・勉強会を開催。著書に「アメリカも批准できないTPP協定の内容は、こうだった!」(2016, サイゾー)、「タネはどうなる? 種子法廃止と種苗法運用で」(2018, サイゾー)、「売り渡される食の安全」(2019, KADOKAWA)など。

上映会で、日本の農民の自主性を奪うような重要問題にもかかわらず、国民的議論が盛り上がらないことに業を煮やした山田正彦さんが、農業をテーマにいくつもの作品を撮ってきた原村政樹監督にこのドキュメンタリーの製作を依頼したと言っていたが、マスコミの報道は、まさに「海外に流出した日本開発品種を、海外流出を防ぐ」という部分を強調した記事が多いように感じる。
一方で農家が「自分で増殖した種を使えなくなる」という大事な部分があまり知らされていない。農家の自主性をそぎ「種を人任せにする」ことは国内品種の保護にはならないと、この作品では警告している。
各地の気候や土壌に根ざした種の改良は、農業試験場や農家の努力のたわもの。農家の自家増殖は各地の農作物の多様性を守り、後世に伝えていくもの。農家の自家増殖が禁止になるということは、国際競争力の低下にもなる。日本の農作物の安全性が脅かされていることに警鐘を鳴らしている。農家の自家増殖は、豊かな農作物の多様性を守り、広く後世の農家にも伝えていくもの。私たちの食の未来について考えなくてはならない。まさに「タネは誰のもの」である(暁)。


種子法という言葉をTwitterの投稿で見かけたのは今年の1月くらいだったような気がします。その頃は自分には関係ないことと思って、そういった投稿はほとんど読んでいませんでした。今回、この作品を見て、このことだったんだと今更のように気がつきました。また、作品の冒頭でニンジンやブロッコリー、きゅうりの種を採取しているのを見て、種の形状も初めて知ったくらい、農業についての知識もありませんでした。
本作を見たら、いきなり種苗法について詳しくなったとはいいません。むしろ分からないことばかりです。しかし、試写のあとに監督が「作品を撮ったものの、自分もまだまだ種苗法について、わかっているわけではありません」とおっしゃるのを聞き、安心しました。種苗法って何? 私たちの生活にどうかかわってくるの? そういった疑問や興味を持つことがまずは大事なのだと思います。多くの方々にご覧いただいて、もっともっと知りたいと思う人が増えてほしい。一緒に知っていきましょう。(堀)


『タネは誰のもの』公式HP
配給:きろくびと
2020年/日本/カラー/65分
協力:日本の種子(たね)を守る会/映画「武蔵野」製作委員会
企画:一般社団法人心土不二

シネマジャーナル 原村政樹監督取材記事
・シネマジャーナル本誌 62号(2004)
『海女のリャンさん』原村政樹監督インタビュー

・『無音の叫び声』原村政樹監督 記者会見(2016)
http://www.cinemajournal.net/special/2016/muon/index.html

・『お百姓さんになりたい』原村政樹監督インタビュー
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/470323961.html
posted by akemi at 10:10| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください