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トラムや馬ぞりが行き交う雪のモスクワ。教会の鐘が響く。
ソ連最高裁の特別法廷に次々と集まる人。
反革命組織産業党裁判。被告人たちの名が読み上げられる。
被告人たちの供述を大勢が見守る。
街路では“破壊分子”に銃殺を要求するデモ。
「帝国主義に手を貸した者に容赦ない判定を!」
被告人の最終陳述。「私は仕事がしたかった。労働者階級に重い罪を犯した」
判決が下される。銃殺刑や10年の自由剥奪、全財産の没収・・・
拍手し歓声をあげる聴衆・・・
1930年、モスクワで行われた、いわゆる「産業党裁判」と呼ばれるスターリンによる見せしめ裁判。8名の有識者が西側諸国と結託しクーデターを企てた疑いで裁判にかけられたもの。90年前のソヴィエト最初期の発声映画『13日(「産業党」事件)』の発掘されたアーカイヴ・フィルムにより捏造と判明。スターリンは民衆を革命の原動力とするために、打倒すべき相手として、「産業党」の人々の罪をでっちあげたのです。
被告人は、30代後半から60代半ばまでの学者たち。国家の発展に寄与するであろう人たちを国家権力が抹殺してしまったことに驚愕しました。被告人にされた人たち、そしてそのご家族の無念を思い涙。スターリンの時代に、国家の知的財産の多くが粛清という形でないがしろにされたことを、ほんとうに残念におもいます。(咲)
セルゲイ・ロズニツァ「群衆」ドキュメンタリー3選 『国葬』『粛清裁判』『アウステルリッツ』
http://cinejour2019ikoufilm.seesaa.net/article/478352334.html
2018年/オランダ、ロシア/ロシア語/モノクロ/123分
配給:サニーフィルム
公式サイト:https://www.sunny-film.com/sergeiloznitsa-films
★2020年11月14日(土)~12月11日(金)シアター・イメージフォーラムにて公開 全国順次ロードショー