2020年10月04日

薬の神じゃない! 原題:我不是薬神

2020年10月16日 新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサ他全国順次公開
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薬の神じゃない!ポスター.jpg
©︎2020 Cine-C. and United Smiles Co., Ltd. All Rights Reserved

監督・脚本:文牧野(ウェン・ムーイエ)
共同製作:寧浩(ニン・ハオ)
出演:徐崢(シュー・ジェン)、王伝君(ワン・チュエンジュン)、周一囲(ジョウ・イーウェイ)ほか

何がホンモノで、何がニセモノか?!

上海で男性向けのインドの強壮剤を販売する店主 程勇(チョン・ヨン)は、店の家賃も払えず、妻にも見放され人生の目標を見失っていた。ある日、「血液の癌」である 「慢性骨髄性白血病」を患う呂受益(リュ・ショウイー) が、国内で認可されている治療薬は非常に高価なので、安価で成分が同じインドのジェネリック薬を輸入して欲しいという依頼しにきた。最初は申し出を断ったものの 金に目がくらんだ程勇は、ジェネリック薬の密輸・販売に手を染め、より多くの薬を仕入れるために白血病患者たちとグループを結成。依頼人の呂を始め、白血病患者が集まるネットコミュニティ管理人の劉思慧(リウ・スーフェイ)、中国語なまりの英語を操る劉牧師、不良少年の彭浩(ボン・ハオ)らが加わり、事業は大きく拡大していく。しかし、警察に密輸として目をつけられ、一度はグループを解散した。でも、薬を絶たれた患者たちの悲痛な姿を見て、あえて危険な仕事を続け、患者の負担を軽くするため仕入れ値以下の価格で薬を売るようになった。そんな彼に警察がせまる。あえて危険な仕事を続ける彼に待ち受ける結末とは…。

2014年に中国で実際に起きたニセ薬事件。それを元に作った作品。この事件をきっかけに中国の医薬業界に改革が起きた。事件発生から間もない 2018年7月に映画化され、中国公開されると3日間で9億元(約146億円)、 最終的に30億元(約500億円)を超える爆発的なヒットを記録した。 また、興行的な成功だけでなく、アジア・フィルム・アワード・助演男優賞、台湾の金馬奨・主演男優賞、新人監督賞、オリジナル脚本賞の3部門受賞をはじめ、国内外の映画賞を数多く受賞し、名実とともに中国を代表する作品になった。
薬を密輸する主人公を演じたのは、ヒット作に多数出演し監督としても活躍する徐噂(シュー・ジェン)、その他、王伝君(ワン・チュエンジュン)、『スプリング・フィーバー』の譚卓(タン・ジュオ )、『象は静かに座っている』の章宇(チャン・ユー) などが出演。監督は、岩井俊二、魏徳聖(ウェイ・ダーション、關錦鵬(スタンリー・クワン)監修のオムニバス映画『恋する都市5つの物語』を監督した文牧野(ウェン・ムーイエ)。共同製作は寧浩(ニン・ハオ)。

2018年の中国映画週間で上映された時に見逃し、残念に思っていた作品が日本公開されることになり嬉しい。中国で実際に起こった事件を元に作られた作品とのことだけど、この事件をきっかけに「慢性骨髄性白血病」のジェネリック薬品の輸入が認められることになったということを聞き、痛快な気分。主人公を演じた徐噂は、これまでコメディアンかと思っていたけどそうではなかったんですね。エンターティメントとしても面白くドタバタ喜劇風な作品だと思ったら、共同製作が『クレイジー・ ストーン 翡翠狂騒曲』の寧浩。なるほど(笑)。この作品のテイストにも近いかも(暁)。

ニセ薬販売事件がベースになっているのですが、まったくのインチキな薬ではありません。インドで作られたジェネリック医薬品です。国内で認可されている薬が高すぎて、多くの慢性骨髄性白血病患者には手が届かないため、密かに輸入していたのです。
もともと主人公が金もうけのために始めたとし、前半はコミカルに展開します。多くの患者から必要とされていくうちに、主人公の気持ちに変化が現れました。そして後半はシリアスに転換。中国の社会問題をさらけ出していきます。その結果、事件と映画公開をきっかけに中国医薬業界に変化が起きました。映画が社会に及ぼす影響は思っていた以上に大きいものなのですね。(堀)


徐崢シュー・ジェンさん.JPG
程勇役の徐崢(シュー・ジェン)さん;2018年中国映画週間にて

『薬の神じゃない!』公式HPはこちら
中国/2018年/カラー/北京語・英語/117分/ビスタ/5.1ch/
配給:株式会社シネメディア


posted by akemi at 21:28| Comment(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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