監督:角川春樹
原作:高田郁
脚本:江良至、松井香奈、角川春樹
撮影:北信康
音楽:松任谷正隆
主題歌:手嶌葵「散りてなお」
出演:松本穂香(澪)、奈緒(野江)、若村麻由美(芳)、浅野温子(おりょう)、窪塚洋介(小松原)、小関裕太(源斎)、藤井隆(清右衛門)、野村宏伸(清八)、衛藤美彩(菊乃)、渡辺典子(お満)、村上淳(卯吉)、永島敏行(伝右衛門)、薬師丸ひろ子(お百)、石坂浩二(種市)、中村獅童(又次)、榎木孝明(駒澤)、鹿賀丈史(采女)
享和二年の大坂。8歳の澪と野江は仲の良い幼馴染だった。「何があってもずっと一緒や」と約束を交わす二人、その約束の夜大坂を大洪水が襲った。澪は洪水で両親を失い、天満一兆庵の女将芳に拾われるが、野江の消息は分からずじまい。
それから10年、澪と芳は江戸の神田にある蕎麦処「つる家」の店主・種市に助けられ、そこで働いていた。種市に料理の才能を認められた澪だったが、上方の味と全く違う江戸の味に戸惑っていた。お客に喜ばれる料理を考えて試行錯誤の末、生み出されたつる家の看板料理は江戸中で評判となった。
ある日、吉原の翁屋で料理番をしている又次がやってきた。吉原で頂点を極めるあさひ太夫のために澪の看板料理を作ってくれという。澪は故郷の話を又次にし、又次は料理を持ち帰り、あさひ太夫に澪の話を聞かせた。
享和二年は西暦の1802年。実際に大きな水害があり多くの人が家族や家を亡くしました。ここで離ればなれになってしまった澪と野江を、10年後澪の料理が結んで劇的な再会を果たします。二人の変わらない友情を芯に、澪の周りの人々との交流と成長していくさま、澪が工夫する美味しそうな料理とに惹かれて、原作全10巻(+4年後に別巻)を読み続けました。「読んでから見るか、見てから読むか」で出版業界から映画制作に参入した角川春樹氏のハルキ文庫刊でした。
その角川春樹氏が『笑う警官』(2008年)以来約10年ぶり、8本目の監督をしたのが本作。出演作が続く松本穂香と奈緒がヒロインを務めました。初めての時代劇で、着物姿での所作から、調理の手際まで学ぶことばかりだったでしょう松本穂香さん、そのままひたむきな澪です。吉原一の太夫役の奈緒さんも凛として美しいです。フレッシュな二人を支えるのが、これまで角川映画に出演した豪華な出演陣、映画を盛り立てています。松任谷由実の書き下ろし曲を手嶌葵が歌い上げる「散りてなお」は10月14日CD発売。(白)
本作は豪華な俳優陣に目が行きがちですが、実はスタッフも邦画屈指の技術を持つ方々です。撮影の北信康さん、照明の渡部嘉さんは三池崇史監督の『十三人の刺客』で第34回日本アカデミー賞最優秀撮影賞と最優秀照明賞を獲得しています。本作でも北さんは円形移動で情感を盛り上げ、渡部さんは夕方と夜の微妙な違いを照明で表現しています。また、音響効果の柴崎憲治さんは三味線や唄などあふれるほどの材料をうまく整理しながら、遊郭の雰囲気を作り上げました。肝心の料理は服部栄養専門学校の人が作り、物語の中で全部は使えなかったので、最後のローリングタイトルで使われています。そんなことにもちょっと意識を向けてご覧になるのもおもしろいですよ。(堀)
2020年/日本/カラー/シネスコ/131分
配給:東映
(C)2020 映画「みをつくし料理帖」製作委員会
https://www.miotsukushi-movie.jp/
★2020年10月16日(土)全国一斉公開
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