監督・脚本:八木順一朗
撮影:伊丸剛創
主題歌:GLIM SPANKY
出演:竹内一希(実)、田中要次(父)、田中永真(エーマ)、橋本小雪(朱美)、小野真弓(母)、鉢嶺杏奈、島田秀平、三浦貴大、山本學、友情出演:爆笑問題(太田光、田中裕二)
長野のりんご農家の跡取り息子・実は、父親と2人で農園を切り盛りしながら週末になると東京へ出向き、お笑いライブに出演していた。そんな彼には、母親が他界してから笑わなくなった父親を笑顔にしたいという強烈な思いがあった。夢を実らせるべく、人生をかけたステージに臨む実だったが……。
八木順一朗監督は芸能事務所タイタンのマネージャーさん。予告編大賞で主演男優賞と堤幸彦賞を受賞したことから、長編映画の話が実現しました。その経緯やご苦労は公式HPの監督コラムに詳しく語られています。製作費やキャスティングの算段はもちろんですが、りんごが実るのに合わせて撮影を進めた、というのになるほどねぇ。人の追加撮影はできても、りんごは都合に合わせてくれません。農家の方々が日々丹精した真っ赤なりんごが青空に映えていい絵になっています。
父と子の葛藤だけではなく、地方の伝統や産業を守ろうとする人、夢を追う人、諦める人たちが画面の中で生きていて、これからも笑顔でいられますように、と応援したくなりました。現役の漫才コンビまんじゅう大帝国の竹内一希さん田中永真さんが映画ではピン芸人としてライバル役、普段仲良しなので喧嘩するのが難しかったようです(笑)。日本エレキテル連合の橋本小雪さん、中野聡子さんも普通メイクで出演しています。私は女優さんだと思って最初気づきませんでした。和服姿の中野さんもお見逃しなく。
猛暑のある日、八木監督と、まんじゅう大帝国、日本エレキテル連合の3組のインタビューをさせていただきました。リンクは下です。ご覧くださいませ。(白)
信州は、私の第2の故郷。年に数回行くしリンゴの花が咲く5月にも実る季節にも何度も出かけている。そしてこのコロナ禍で3月頃には旅に行くこともできなくなり、もう半年。そんな頃にこの『実りゆく』という作品を知った。しかも舞台は私の大好きな信州。下伊那郡松川町というのは通ったことしかないけど、これはどうしても観たいと思った。だから、冒頭、快晴の空に真っ赤なリンゴが映し出された時「ああ、いいなあ」とため息をついた。
そして内容はといえばリンゴ農家の後継ぎがお笑いを目指す話だった。実際に松川町でリンゴ農家を営みながら週末芸人をやっている?という松尾アトム前派出所という芸人さんがモデルだというのを映画を観たあとに知った。私はお笑いや漫才、芸人について全然知らないので、ここにそういう人たちが出ていても爆笑問題しか知らなかったんだけど、監督自身がタイタンという私でも知っている事務所のマネージャーだという。
でも八木監督は高校卒業までに13本もの映画を撮っていたというし、日大芸術学部映画学科監督コース出身という経歴を知ってなるほどと思った。初めて作った長編とのことだったけどそつなく作られているし、監督自身の思い、主人公の思い、タイタンがあっての出演者たち。八木監督は大まわりをして映画製作にたどりついたかもしれないけど、これまでの経験があったからこそできた映画だと思った。お笑いにしてもリンゴ作りにしても、映画製作にしても、何かを作りあげるには、熟成期間が必要なんですね。信州弁も久しぶりに聞けたし、リンゴ農家の様子も観ることができたし、なんとか秋には信州に行ってリンゴを買いたいと思ったんだけど行けるかな(暁)。
2020年/日本/カラー/87分
配給:配給:彩プロ
(C)「実りゆく」製作委員会
https://minoriyuku-movie.jp/
★2020年10月2日(金)長野先行上映
★2020年10月9日(金)新宿武蔵野館ほか全国順次公開
八木順一朗監督インタビューはこちら
竹内一希さん・田中永真さん(まんじゅう大帝国)インタビューはこちら
橋本小雪さん、中野聡子さん(日本エレキテル連合)インタビューはこちら
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