2020年09月19日
フライト・キャプテン高度1万メートル、奇跡の実話(原題:中國機長)
監督:アンドリュー・ラウ
脚本:ユー・ヨンガン
視覚効果:エレン・プーン
出演:チャン・ハンユー(リュー機長)、ユアン・チュアン(ビ・ナン)、オウ・ハオ(シュ・イー・チェン)、ドゥー・ジアン(シャン・ドン)、チャン・ティエンアイ(フォアン・ジャ)
2018年5月14日、重慶市からチベット自治区のラサに向かう四川航空3U8633便が、乗客119人を乗せて飛び立つ。当初は順調なフライトだったが、地上1万メートルを飛行中、突如として操縦室のフロントガラスにひびが入り、瞬く間に大破する。氷点下30度の冷風が猛烈な勢いで吹き込み、操縦室の圧力は低下。自動操縦も不可能になり、激しく揺れる機体に乗客もパニックに陥るが……。
リュー機長が家を出るところから始まります。制服を着て仕事に向かう前、居間の飾り付けを眺めます。仕事から戻ったら愛娘の誕生日祝いをする予定。普通のお父さんの顔から機長の顔になるいいオープニングでした。『マンハント』で日本にも知られたチャン・ハンユー、精悍です。CAさんたちもそれぞれ出発準備に余念がなく、少し後に大パニックになるとは誰も予想していません。
混乱の中誰がどのように対処したのか、事実を調査しての映画化でしょう。観客は乗客になり、乗務員になり、機長になってその追体験をすることになります。
リュ―機長の経験に基づく技術と対応は、英雄と讃えられました。よくぞ生還したと誰もが拍手したはず。微に入り細に入りの再現で、しばらく飛行機に乗れなくなるかもしれません。私はこの映画の後、飛行機に乗る用事があり、思わずフロントガラスの強度など検索してしまいました。何事もなく往復しましたが、安全のために多くの人が携わっていることもいつもより感じました。
2019年の国慶節に建国70周年に合わせて作られた映画3本のうち、最も集客した作品というのが納得です。
アンドリュー・ラウ監督は20代で撮影監督からスタート、私好みの香港映画の多くはこの方が手掛けていました。40代で監督になり『古惑仔』『インファナル・アフェア』シリーズなどヒット作を送り出しています。エンタメと情感のバランスよく、満足させてくれる折り紙つきの監督。(白)
2018年に中国・四川航空機が緊急着陸した事故を再現した作品ですが、日常が非日常に変わる瞬間は心臓が飛び出たかと思うくらい驚きました。これは映画だからオーバーに描いているのよね?と思ったのですが、見終わってから調べたところ、私が驚いたシーンは本当に起きたこと! 人ってこんな絶望的な状況でも乗り越えることができるんだと勇気をもらえます。そして、最後まで冷静な判断をしたリュー機長はチャン・ハンユーにぴったりの役でした。
陸上側の対応がきびきびしていて気持ちがいいのですが、本当はもう少しパニックに陥っていたのではないかしら? 怒号が飛び交ってもおかしくないと思うのですが、どの部署も落ち着いて対応しています。建国70周年に合わせて作られた映画だから、国の威信を損ねるようなことは描けなかったのかもしれません。
エンドロールに本物のクルーと演じた俳優が2ショットで映し出されるのですが、本物のCAたちがみな美しくて、どちらが本物のCAで、どちらが女優かわからないくらいです。機長、第二機長、副操縦士は何となく似ている感がありました。(堀)
2019年/中国/カラー/シネスコ/111分
配給:アルバトロス・フィルム
(C)2019 Bona Entertainment Company Limited All Rights Reserved.
https://flight-captain.com/
★2020年10月2日(金)シネマート新宿・心斎橋ほかロードショー
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