2020年09月18日
クライマーズ(原題:攀登者 The Climbers)
監督:ダニエル・リー
プロデューサー:ツイ・ハーク
脚本:ア・ライ
出演:ウー・ジン (ファン・ウージョウ)、チャン・ツィイー (シェイ・イン)、チャン・イー (ソンリン)、ジン・ボーラン/ジャッキー・チェン(リー)、フー・ゴー(ヤン)、チュイニーツーレン (ヘイムーダン)
1960年、ファン・ウージョウ率いるたった3人の中国登山隊は、世界で初めて北稜からのチョモランマ登頂に成功する。しかし、登攀中雪崩に襲われ、隊員のソンリンを助けたときにカメラを落としてしまう。証拠写真がないために、その偉業は国際的に認められることはなかった…。
15年後、ボイラー室で働いていたファンに朗報が入る。チョモランマ登頂を目指す第二次登山隊が結成されるというのだ。ファンは、長い交際の婚約者である気象学者インや、カメラマンのリー、測量士のヤンたち新しい仲間とともに、愛と名誉をかけチョモランマ登頂に再び挑む!
史実をもとに作られた、世界最高峰の山に命がけで挑む男たちの映画。香港の監督のダニエル・リーがメガホンを取っています。2019年の建国70周年記念の「中国の誇り3部作」のうちの1本。このほかに『フライト・キャプテン高度1万メートル、奇跡の実話』(原題:中國機長)、チェン・カイコー(陳凱歌)ら7人の有名監督が過去70年間の歴史的瞬間を切り取った『我和我的祖国』があります。
ファン役のウー・ジンは若いときから得意のカンフーを生かしたアクション映画でよく見かけましたが、年を重ねるにつれ人間としての内面を表現する役も多くなってきました。この作品でも不遇をかこちながら、鍛錬を忘れずここぞというときに力を発揮できるファンとして頼もしいです。
それにしても恋人へのぎこちない様子に歯噛みしたくなります。大事な言葉をさっさと言えない間の悪さ、中国ではこういう不器用な人こそ男らしいのでしょうか?ずっと待っていたシェイが可哀想じゃないですか。ま、それがドラマを盛り上げるのですが。
友情出演のジャッキー・チェンがチラシに大きく出ていますが、なかなか出てきません。眼を皿のようにして探さなくてもわかりやすく登場します。
登山映画は数々観てきましたが、何がそんなにも彼らを駆り立てるのかいまだわかりません。わからないから観続けているのかもしれない、と思うこのごろ。美しい雪山の撮影や伸長著しいVFXもお楽しみください。(白)
中国がチョモランマ登頂に国家の威信をかけていたことがひしひしと伝わってきます。エベレストがいつの頃からかチョモランマと言われるようになりましたが、エベレストはあくまでもイギリスがつけた名前で、中国にとってはチョモランマ。登頂はそれを広める意味合いもあったのだと知りました。
当時の中国がチョモランマ登頂に国家の威信をかけたのなら、今の中国はこの作品を撮ることに国家の威信をかけたのだと思われるほど、出演俳優はビッグネームですし、撮影にハリウッドを凌ぐ迫力のVFX が駆使されています。主演は中国とアジアの歴代興行収入で 1 位を記録した『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』のウー・ジンですし、相手役は昨年の第 32 回東京国際映画祭で審査委員長を務め、今年 1 月に滞在先の米国で第2子となる男児を出産したチャン・ツィイー。とても41歳には見えない、清純な三つ編みのお下げ姿に驚きました。2人のラブロマンスも涙なしには見られません。また、カメラより優先して助けられたことを恥じるソンリンが助けてくれたファンへ確執を抱く気持ちがわかるだけに、ソンリンの心の雪解けシーンには胸が熱くなりました。
しかし、最近またエベレストという表現も増えてきた気がする。8月に中国の測量隊8人がチョモランマに登頂して15年ぶりに測量したのは、エベレストという言葉を覆すためだったのかしら?(堀)
2019年/中国/カラー/シネスコ/122分
配給:AMGエンタテインメント
(C)2019 SHANGHAI FILM GROUP. ALL RIGHTS RESERVED.
https://climbers-movie.com/
★2020年9月25日(金)ロードショー
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