2020年09月13日
プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵 原題:Escape from Pretoria
監督:フランシス・アナン
原作:ティム・ジェンキン「脱獄」(同時代社刊)
出演:ダニエル・ラドクリフ、イアン・ハート、ダニエル・ウェバー、ネイサン・ペイジ、スティーブン・ハンター
1970年代、アパルトヘイト下の南アフリカ。ティム・ジェンキン(ダニエル・ラドクリフ)とスティーブン・リー(ダニエル・ウェバー)は、白人でありながらネルソン・マンデラ率いる反アパルトヘイト組織「アフリカ民族会議(ANC)」に加わり活動していた。1978年6月、爆破装置を使用してチラシを散布していたのが見つかり、白人政治犯専用のプレトリア刑務所に収監される。
看守長から「国と白人を裏切った“白人のマンデラ”」と揶揄される。マンデラと共に終身刑の判決を受けた政治犯の長老デニス・ゴールドバーグ(イアン・ハート)からは、「我々は“良心の囚人”。犯罪者じゃない。逃げずに闘え」と言われながら、ティムたちは抵抗の意思表示をするために脱獄を決意する。同調したレオナールと3人で脱獄方法を模索する。収監23日目、独房の鍵穴を見つめていたティムは、木片で鍵を作ることを思いつく。木工所で作業しながら、木片を隠して持ち帰り、鍵を試行錯誤で作る日々が始まる・・・
アパルトヘイト政策下の南アフリカで育ったティム-ジェンキンの自伝「脱獄」(同時代社刊)を基に製作された実話。なので、脱獄に成功したのはわかってはいるものの、10もの鉄の扉を開ける鍵を作り上げて、看守たちに見つからないように外に出るまで、ハラハラどきどき。脱出まで300日近く! その忍耐力と執念に驚かされます。
もう一つ驚いたのは、差別の対象でない白人が抵抗運動をしていたこと。アパルトヘイトの国らしく、白人専用の刑務所があったのは理解できるのですが、専用の刑務所が必要なほど、白人の政治犯が多くいたことに、なぜ彼らは抵抗運動をしたのか興味津々です。黒人用の刑務所と待遇に差別はあったのかも気になります。(咲)
アパルトヘイトについて取り上げた、御堅い作品ではありません。白人の主人公がアパルトヘイトに反対して投獄されるものの、鍵の形を記憶して、木片で合鍵を作って脱獄するという、ハラハラドキドキのエンターテインメント寄りの作品です。主人公を演じたのはダニエル・ラドクリフ。『スイス・アーミー・マン』では死体役でしたが、今回はちゃんと生きています。『ハリー・ポッター』の頃の印象がすっかりなくなっているのを感じます。
鍵の製作、リハーサル、本番。それぞれ違った緊張感が作品を盛り上げます。ぽたっと落ちた汗1つで不安が生じました。実話モノなので結果はわかっているものの、最後まで目が離さない演出の先にあるラストは爽やかです。(堀)
2020年/イギリス・オーストラリア/106分/G/
後援:ブリティッシュ・カウンシル
配給:アット エンタテインメント
© 2019 ESCAPE FP HOLDINGS PTY LTD, ESCAPE FROM PRETORIA LIMITED AND MEP CAPITAL, LP
公式サイト:http://www.at-e.co.jp/film/escape/
★2020年9月18日(金)シネマート新宿、ユナイテッド・シネマ豊洲ほか全国順次公開
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