2020年09月06日
ホテルニュームーン 原題:mehmankhane mahe no 英題:Hotel New Moon
監督:筒井武文
脚本:ナグメ・サミニ、川崎純
撮影:柳島克己
編集:ソーラブ・ホスラビ
プロデユーサー:ジャワド・ノルズベイギ、ショーレ・ゴルパリアン、桝井省志
出演:ラレ・マルズバン、マーナズ・アフシャル、永瀬正敏、アリ・シャドマン、小林綾子
イランの首都テヘラン。大学生のモナは、小学校の教師を務める母ヌシンと二人暮らし。父は自分が生まれる前に山で友達を助けようとして滑落して亡くなったと聞かされている。モナはボーイフレンドのサハンドと一緒にカナダへの留学を画策しているが、母は門限も8時と何かと厳しく、言い出せないでいる。そんなある夜、母が化粧をして出かけるのを知り、そっと後をつけ、ホテルで見知らぬ日本人男性と会っているのを見てしまう。
母が隠したパスポートを家探ししていたモナは、若かりし頃の母が赤ちゃんを抱いて、先日会っていた日本人男性と一緒に映っている写真を見つける・・・
日本イラン国交90周年の2019年に日本イラン合作で完成させた映画。
発端は、イランで映画の撮影現場を訪れた筒井監督が、そのエネルギーに惚れ込み「現在のイランで生きる若者たちの物語を作りたい」と思ったことから。脚本を、国際交流基金の招へいで半年間日本に滞在したことのあるナグメ・サミニに依頼。母と娘の物語を紡ぎだしました。母ヌシンは、1990年初頭、日本に出稼ぎに来ていた設定で、日本とイランの現代史も盛り込んでいます。
娘の父親のことをひた隠しにすることに、日本の観客は違和感を覚えるかもしれません。出来ちゃった婚を、今や授かり婚と称する日本と違って、イランでは未婚で身籠ることは今でも恥。大っぴらに言えないそうです。離婚は結構多いので、シングルマザーは普通にいるのですが。
また、本作には今どきのイランがさりげなく語られています。
アプリでタクシーを呼ぶ、鼻を低くする整形手術、服装チェックで警察に捕まる、女子学生の多い大学の教室、海外への留学、おしゃれなカフェ、山の手のホテルと下町のホテル、モダンなアパートメントと昔ながらの住宅街・・・
ニュースが伝える宗教国家イランというイメージとは違う、イランの普通の人々の暮らしを垣間見ることができます。
日本側のプロデューサーを務めたショーレ・ゴルパリアンさんに本作製作の裏話を伺いました。イラン側のプロデューサーが商業映画をずっと作ってきた方で、受けを狙ってくだらない場面を入れようとする彼とのバトルが大変だったという話が可笑しかったです。詳細は後日お届けします。(咲)
スタッフ日記:『ホテルニュームーン』ショーレさんにイランとの合作の苦労を伺いました (咲)
http://cinemajournal.seesaa.net/article/476406482.html
2019年/日本・イラン/95分/1:1.85/カラー
制作プロダクション:アルタミラピクチャーズ
製作:ガーベアセマン、アルタミラピクチャーズ、Small Tark
提供:スモールトーク
配給:コピアポア・フィルム
公式サイト:http://hotelnewmoon2020.com/
★2020年9月18日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次ロードショー
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