2020年09月05日
チィファの手紙(原題:Last Letter)
原作・脚本・監督:岩井俊二
プロデュース:ピーター・チャン
撮影:神戸千木
音楽:岩井俊二、ikire
出演:ジョウ・シュン(チィファ)、チン・ハン(イン・チャン)、ドゥー・ジアン(ジョウ・ウェンタオ)、チャン・ツイフォン(チィファ、サーラン)、ダン・アンシー(チィナン、ムームー)、フー・ゴー(ジャン・チャオ)
チィファの姉、チィナンが死んだ。彼女宛に届いた中学の同窓会に出かけて、そのことを伝えようとしたチィファだったが、姉に間違えられた上、スピーチまでするはめになってしまった。同窓会には、チィファが憧れていたイン・チャンも来ていた。途中で帰ったチィファをチャンが追いかけ、呼びとめる。チィファは姉のふりを続け連絡先を交換するが、チャンが送ったメッセージをチィファの夫ウェンタオが目にして激昂したあげくスマホは壊されてしまう。チィファは、チャンに住所を明かさないまま、チィナンとして一方通行の手紙を送る。それは思いがけないできごとを引き寄せた……。
今年1月に公開された岩井俊二監督の『ラスト・レター』のもう一つの”ラスト・レター”。中国版リメイクではなく、ほんとはこちらが先に作られました。
中国を舞台に二つの時代を描き分けるため、日本とは違う様々な文化・習慣をリサーチしたそうです。それをぴったりのキャストが演じ分けています。チィナンとチィファの少女時代と現代の娘役を同じ俳優が演じるのも、日本版と同じ。中国の一人っ子政策や、犬を飼うにも制限があったこともきちんと反映されています。
岩井俊二監督の『Love Letter』などロマンチックな作品は中国でも人気が高いそうです。その知名度に加えて岩井監督旧知の香港のピーター・チャン監督がプロデューサーとして加わったことで、制作がたいへんスムーズにいったのだとか。ジョウ・シュン、チン・ハンといった有名俳優を主演に迎え、観客の心に訴える中国映画が完成しました。(白)
好きになった人の想い人は姉。好きだからこそ思いを叶えてあげたい。しかし、自分の気持ちも抑え切れない。しかも、大人になって再会しても彼の想いは変わっていなかった。この設定は切なすぎる。岩井俊二監督の世界観が静かに炸裂していて、どっぷりと物語の中に引き込まれます。
2020年1月には『ラスト・レター』というタイトルで、同じ主題の日本版も公開されました。好みの問題ですが、私は『チィファの手紙』が好き。日本版では福山雅治、中山美穂、豊川悦司がくたびれた中年を演じていて、私の中でカッコいいはずの彼らのそんな姿がどうしても受け入れられなかったのです。(堀)
2018年/中国/カラー/シネスコ/113分
配給:クロックワークス
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https://last-letter-c.com/
★2020年9月11日(金)ロードショー
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