2020年08月30日

人数の町

ninzu.jpg

監督・脚本:荒木伸二
撮影:四宮秀俊
音楽:渡邊琢磨
出演:中村倫也(蒼山哲也)、石橋静河(木村紅子)、立花恵理(末永緑)、川中聡(ポール)、橋野純平、植村宏司、菅野莉央、松浦祐也、草野イニ、川村紗也、柳英里紗

膨らんだ借金が返せず、暴行されていた蒼山は、黄色いツナギの男に助けられた。男は蒼山を”デュード”と呼び、居場所を用意してやると言う。行く当てもなく、半信半疑のままついていく。バスに乗ってどこかに連れていかれるのは蒼山一人ではなかった。着いたのは奇妙な「町」、入るときに首に何かを埋め込まれた。町は黄色のツナギの”チューター”が管理し、それぞれに個室が与えられる。部屋にあるバイブルには町での暮らし方が書かれている。衣食住が保証され、気の合ったもの同士のセックスもOKだ。住人たちはネットへ書き込みをしたり、誰かの代わりに投票に行ったりする。ある日新しい住人たちが町にやってきた。明らかに他の住人と違う雰囲気の紅子は、行方不明になった妹を探しているという。

とても不思議な設定ですが、もしかしたら知られていないだけで本当はどこかにある町かも、と思ってしまいます。それほど、今生きている私たちが「個」でなく「数」であることが多いからかもしれません。どこにいても「個」として目立つのでなく「数」の中に紛れていたほうが楽だから?
この住人たちはときたま「数」として働き、見合った食料を手に入れ、後は快楽を貪っていても構いません。蒼山もそうやって暮らしていましたが、自分の意思で入ってきた紅子によって疑問を感じるようになります。さてどうなる?
中村倫也さんはすっきりしたイケメンですが、数の中に紛れてしまう蒼山を演じています。『水曜日が消えた』で一人七役を演じ分けましたから、数に紛れるくらいお茶の子さいさい。人数のうちの一人になっています。逆に石橋さん演じる紅子はたった一人でも臆せずに他の大勢とは別のことができる女性です。自分だったらどうするか、と友達とワイワイ盛り上がれそうな展開です。
2017年に開催された第1回木下グループ新人監督賞において、応募総数241作品の中から準グランプリに選ばれたオリジナルストーリー。(白)


2020年/日本/カラー/シネスコ/111分
配給:キノフィルムズ
(C)2020「人数の町」製作委員会
https://www.ninzunomachi.jp/
★2020年9月4日(金)ロードショー

☆活弁シネマ倶楽部に『人数の町』荒木伸二監督がゲストで登場。
(ベレー帽かぶったら手塚治虫さんに見えそう)
https://www.youtube.com/watch?v=FMv3YzyIZks&feature=youtu.be
posted by shiraishi at 15:42| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください