監督:川原愛子
編集・構成:村本勝(J.S.E)
撮影:松宮拓
現場録音:蓮池昭幸
整音:小川武
音楽:谷川賢作
MAスタジオ:サウンズ・ユー
映像技術:グッド・ジョブ
プロデューサー:京田光広/伊藤雄介
語り:池松壮亮
出演:千松信也
獲って、さばいて、食べる 知られざる猟師の暮らしに700日密着
「ぼくは猟師になった」(2008年)を出版したわな猟師・千松信也さんに密着したドキュメンタリー。2018年、NHKTV「ノーナレ けもの道 京都いのちの森」というタイトルで放送され、再放送希望が殺到。追加取材を300日超行い劇場版作品として再構成した。
千松さんは大学在籍中に狩猟免許をとり、先輩猟師から伝統のくくりわな猟、無双網猟を学び、現在は運送会社で働きながら京都の山で猟をしている。狩猟免許を取ったのは「自分で肉を獲れたらおもしろそうという気持ちだったけど、猟の魅力に取り憑かれ、自然や動物が大好きだった子どもの頃の自分と出会い直したような感覚もあり、人間と動物の関係や自分の生き方についても考えるようになった」と語る。
街と山の境に妻と二人の子供と暮らし、イノシシや鹿をわなで捕え、木などで殴打し気絶させ、ナイフでとどめをさす。自然の中で命と向き合う千松さんが選んだ営みは、残酷という非難を超える真の豊かさとは何かを問いかける。
京都は山に囲まれた土地で獣による畑の被害が深刻。しかし、千松さんは獣害対策としての狩猟ではなく、生きるための食料を自分の力で獲るという、仕事でも趣味でもなく、生活の一部とし、獲った獣は自分で処理をしておいしく食べている。この映画の中にも出てくるけど、獣害対策で捕えられた獣たちは大量焼却処分されているが、それがもったいなく感じる。「命を奪うことに慣れることはない」という千松さんの言葉は重い。
語りは千松さんの自然界との向き合い方に心から感動したという池松壮亮さん。CMや映画のスクリーンから聞こえてくる池松さんの声が「言葉よりも背中で語る、森の哲学者」という千松さんのイメージにぴったり重なると伊藤雄介プロデューサーは語る。
千松信也さん(公式HPより)
1974年兵庫県生まれ。京都大学文学部在籍中に狩猟免許をとり、先輩猟師から伝統のくくりわな猟、無双網猟を学ぶ。現在は、運送会社で働きながら京都の山で猟をしている。鉄砲は持っていない。08年発行の『ぼくは猟師になった』(現在、新潮文庫)は「狩猟ブーム」を牽引することになった。他の著書に『けもの道の歩き方猟師が見つめる日本の自然』(リトルモア)『自分の力で肉を獲る10歳から学ぶ狩猟の世界』(旬報社)がある
学校のチャイムが聞こえるような人里のすぐ近くにある森の中で猟をしているのに驚いた。イノシシや鹿による畑の被害も多いということだから、やはり人間の営みのすぐそばに獣たちはいるということなのでしょう。銃は使わずわなで猟をしているというのにも驚いた。解体作業も小学生くらいの子供たちと一緒に行っているが、子供たちに猟師になってほしいか?という質問に「本気でやりたいと言えば教えますが、子どもたちはそれぞれやりたいことをやったらいい」と答え、「漁師にでもなってくれたほうが我が家の食卓が豊かになるなあ、なんて思ったりもしてます(笑)」とユーモアたっぷりに答えている(暁)。
公式HP
製作:NHKプラネット近畿
配給:リトルモア/マジックアワー
2020/日本/カラー/HD/16:9/5.1chサラウンド/99分 G区分
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