2020年08月23日

オフィシャル・シークレット  原題:OFFICIAL SECRETS

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監督:ギャヴィン・フッド
出演:キーラ・ナイトレイ、マット・スミス、マシュー・グード、レイフ・ファインズ

2003年初頭、イラク打倒を目論む米国に同調する英国の諜報機関で働くキャサリン・ガンが違法な工作活動をリークし、世間を騒がした。本作は、勇気ある告発をした実話に基づく物語。

2003年1月。英国の諜報機関GCHQ(政府通信本部)で翻訳分析官として勤務するキャサリン・ガン(キーラ・ナイトレイ)はある日、米国の諜報機関NSA(国家安全保障局)から送られたメールを見て驚愕する。イラク侵攻を強行するため、国連安全保障理事会のメンバーの動向を探るスパイ活動を指示するものだった。キャサリンは、元同僚で反戦運動家の友人を訪ね、マスコミにリークしたいと相談する。
2週間後、メールの内容が英国「オブザーバー紙」の一面を飾る。マーティン・ブライト記者(マット・スミス)の勇気ある告発記事だった。
英国GCHQでは、リークした犯人探しが始まる。キャサリンは、仕事仲間に執拗な尋問が及ぶ状況に耐えきれず、告発したのは自分だと名乗り出る。
しかし、キャサリンの告発も虚しく、3月20日、米英によりイラク侵攻は強行される。
起訴されたキャサリンを救おうと人権派弁護士ベン・エマーソン(レイフ・ファインズ)らが立ち上がった・・・

2001年9月11日の同時多発テロ事件以降、テロへの報復に躍起になっている米国政府の態度を腹立たしく見ていたのを思い出します。そして、ついに2003年3月20日、米英により強行されたイラク侵攻。今では、イラクが大量破壊兵器を開発しているというのは米国のでっち上げだったことが明らかになり、サッダーム・フセインを倒してもイラクに平和は訪れず、米英のイラク侵攻のツケはイラクの庶民にまわっています。
キャサリン・ガンは、そのような状況になることを見越して、理不尽なスパイ指示をリークしたに違いありません。
キャサリン・ガンは、台湾で育ち、日本に留学し、広島で英語を教えていたことがあり、反戦の思いを強くしたのだと思います。また、パートナーがトルコ出身のクルド人。強制送還されないために結婚したのかとまで言われたようです。映画の最後に映されるご本人の姿は、とても清楚で誠実な雰囲気でした。「私は政府じゃなくて国民に仕える」という言葉が心に残りました。キャサリン・ガンは無罪になりますが、それ以上追及すると、証拠を開示することになり、政府が違法に戦争に介入したことが明らかになるからという事情でした。世の中には不都合な真実がまだまだありそうです。 (咲)


ギャヴィン・フッド監督の前作『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』(2015年)は、幼い少女が巻き込まれる可能性がある中でのドローンによる自爆テログループ攻撃の是非を問う作品でした。今回はイラク侵攻の正当性をでっち上げたいアメリカをイギリスの諜報機関である政府通信本部(GCHQ)が手助けするよう職員に指示を出したことに危険を感じた職員がリークした実話を基にしています。ギャヴィン・フッド監督はイギリス国家に強い疑問を感じているのかもしれません。
裁判の結果は唖然とするものでした。だからこそ国家の闇の深さを感じます。この事件は忘れちゃいけない!(堀)


2018年/イギリス/カラー/英語/112分/シネマスコープ/5.1ch/G
配給:東北新社 STARCHANNEL MOVIES
©2018 OFFICIAL SECRETS HOLDINGS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト:http://officialsecret-movie.com/
★2020年8月28日(金) TOHO シネマズ シャンテほか全国公開




posted by sakiko at 04:22| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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