監督:末永賢
企画・プロデュース:片嶋一貴
プロデューサー:宮城広
撮影:末永賢 宮城広
整音:臼井勝
編集:末永賢
スチール:シギー吉田 寺坂ジョニー
企画協力:田原章雄 徳田稔
出演
頭脳警察: PANTA、TOSHI、澤竜次、宮田岳、樋口素之助、おおくぼけい
加藤登紀子、植田芳暁(ワイルドワンズ)
日本におけるロックの源流を生み出し、カウンターカルチャーをリードし続けてきた“頭脳警察”50年の足跡を映画化!
1969年、中村治雄(PANTA)と石塚俊明(TOSHI)によって結成された「頭脳警察」。のちに日本語ロックの元祖と言われるようになった彼らは、安保闘争、反戦・反体制運動が盛り上がるなか、過激な歌詞と自由なメロディー、表現方法によって、運動に参加する人たちの心に衝撃を与え支持を得た。
のちに“革命三部作”と呼ばれる「世界革命宣言」「銃をとれ」「赤軍兵士の詩」は、抑圧された社会情勢の中、若者の心情に共鳴する「詩」「叫び声」として享受されていった。
埼玉・所沢公園、かつてここに米軍の基地があった。PANTA(中村治雄)の父は、そこの日本人職員として働いていた。父の同僚の軍曹がハーモニカで聴かせてくれた「ケンタッキーの我が家」が音楽の原点のひとつ。名門校に進学するが、バイク窃盗事件の冤罪がもとで退学処分を受け、このことが体制に対する拭えない猜疑心を芽生えさせた。
PANTAとほぼ同じ頃に東京で生まれたTOSHI(石塚俊明)。同じ頃に生まれたふたりは戦後の激動の時代、社会情勢の中で、それぞれの胸に反骨心と音楽への憧れを育てていった。そして、17歳のときに出会い、1968年大学に進学。大学は学生運動の波の中だった。そして二人は1969年「頭脳警察」を結成。
当時はグループ・サウンズ全盛時代だったが、頭脳警察はその枠にとらわれない、自分たちだけの音楽と詩の世界を追い求めライブハウス中心に活動を開始。ベトナム戦争、あさま山荘事件などを経て若者たちの生き様が変わりゆくなか、頭脳警察は成田闘争の地・三里塚でのイベントに参加するなど、時代の風潮に逆らい続けた。
やがて彼らはもっと純粋な音楽への探究を模索し始め、1975年ステージを降りてしまう。以後、PANTAとTOSHIはそれぞれの道を歩みながら離合集散を繰り返し、その都度「頭脳警察」は進化し続けた。
時は過ぎ、2019年「頭脳警察」は新たに若い人たちが参加し再始動!
ギター・澤竜次(黒猫チェルシー)、ベース・宮田岳(黒猫チェルシー)、ドラム・樋口素之助、キーボード・おおくぼけい(アーバンギャルド)という若いミュージシャンとともに「頭脳警察 50周年バンド」を結成。
これは「頭脳警察」と同時代を歩んできた人、その背中を追ってきた人などの証言とともに、変わらぬ音楽への思いを保ち続ける彼らの「現在と過去」を追うことで、日本におけるカウンターカルチャーやサブカルチャーの歴史を浮き彫りにしていくドキュメント作品でもある。そして、新たな強力メンバーを得た「頭脳警察」の闘いは、この時代を生き抜くための力を私たちに与えてくれるだろう。
1970年代から1990年代、いろいろなイベントや集会などに行った時、PANTAさんが来たこともあり、そのときに「頭脳警察」というバンドがあることを知った。また頭脳警察が参加したイベントで演奏や歌を聴いたこともあったと思うけど、PANTA & HALの時だったかも。でも、過激な歌詞やパフォーマンスで、発禁や放送禁止などのエピソードを持つと、PANTAさんが自虐ネタで話していたことも、この映画を観ながら思い出した。でも、それからすでに20年はたっていると思うので、まさか今も活動しているとは思っていなかった。そしてこの映画の登場。頭脳警察が50周年を迎えて2019年に再結成したというのはこの映画で知った。まるで不死鳥のよう。でも二人の話からそれぞれ音楽は続けてきたのだと思った。
最近観た映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』の中で、司会をしていた全共闘の芥正彦さん(劇作家、演出家、俳優)は「学生運動は今はないかもしれないけど戦いは終わっていない。今も戦っている」と言っていたし、ウーマンリブのリーダー的存在だった田中美津さん追ったキュメンタリー『この星は、私の星じゃない』を観た若い人が、ウーマンリブはの活動はいつ頃終わったのですか?という質問に、「終わってはいない。今も戦っている」と答えていた。彼ら、彼女たちは信念をぬいて生きていると思う。戦い方は変わったかもしれないけど、形を変えて今も戦いながら生きている。頭脳警察の二人も、形を変えながら音楽を続けて生きてきたのだと思う(暁)。
公式HP
2020年製作/100分/日本
配給:太秦
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