2020年07月19日

グランド・ジャーニー(原題:Donne-moi des ailes)

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監督:ニコラ・ヴァニエ「ベル&セバスチャン」「狩人と犬、最後の旅」
撮影:エリック・ギシャール
出演:ジャン=ポール・ルーヴ(クリスチャン)、メラニー・ドゥーテ(パオラ)、ルイ・バスケス(トマ)、フレッド・ソレル(ビョルン)

気象学者クリスチャンは雁の研究に打ち込むあまり離婚し、妻のパオラは一人息子トマと暮らしている。夏休みを過ごすために父親のもとにやってきたトマはオンラインゲームに夢中で、電波も届かない自然豊かなこの地も退屈なだけだ。
クリスチャンは超軽量飛行機を使って、絶滅危惧種の渡り鳥に安全な飛行ルートを教えるというプロジェクトを手がけていた。はじめはしぶしぶ父親につきあったトマだったが、卵が孵ってヒナたちが自分について歩くようになって気持ちが変わる。プロジェクトは「無謀だ」として飛行許可が下りない。

ジャック・ペラン監督のドキュメンタリー映画『WATARIDORI』が大好きでした。その制作に参加した鳥類研究家で気象学者のクリスチャン・ムレクが、実際に挑んだ超軽量飛行機でのノルウェーからフランスまでの旅を映画化したもの。成功した事実を知っていても、映画を観ていて事故がおきないかとつい心配になります。
子どもの頃「ニルスのふしぎな旅」を読み、1980年にヒットしたアニメ番組も欠かさず見ていたのを思い出しました。トマは普通の少年なので軽量飛行機で飛ぶのですが、鳥たちと一緒に旅をするうちにニルスのように様々な体験をします。撮影も素晴らしくて、観客もトマと一緒に旅をした気分になれますよ~。
映画以後、ニコラ・ヴァニエ監督とクリスチャン・ムレク(本人)は、300~400羽の鳥をラップランドから避難地へ移動させるという活動に取り組んでいるそうです。(白)


茶色いローブを着た少年がたった一人で超軽量飛行機に乗り、鳥のひなたちを連れてノルウェーからフランスまで飛行する。フィクションのような話ですが、なんと実話だそう。鳥は最初に見たものを親だと認識するので、親鳥らしく見えるように茶色いローブを着ているのです。大人が着て、羽をばたつかせるように手をバタバタさせると何だか笑ってしまいますが、少年がすると微笑ましく見えるから不思議です。
オンラインゲームに夢中だったイマドキの少年が危険を乗り越え、ひなとともに成長していく。オーソドックスな展開ではありますが、ドキドキハラハラもしっかりあるので、見ていて飽きません。また美しい自然の風景に心が和みます。クライマックスは親になった気分で少年を迎えてあげてください。(堀)


2019年/フランス・ノルウェー合作/カラー/シネスコ/113分
配給:クロックワークス
(C)2019 SND, tous droits reserves
http://grand-journey.com/
★2020年7月23日(木・祝)Bunkamura ル・シネマほかにてロードショー
posted by shiraishi at 13:46| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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