2020年07月19日

プラド美術館 驚異のコレクション  原題:Il Museo del Prado - La corte delle meraviglie

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監督・脚本:ヴァレリア・パリシ
ナビゲーター:ジェレミー・アイアンズ

スペインの首都マドリードにあるプラド美術館。
ここには、ベラスケス、ゴヤ、グレコの三大巨匠をはじめ、15世紀から19世紀にかけて歴代のスペイン王室が独自の審美眼で買い集めた美術品が収められている。
プラドが王立の絵画館として開かれたのは、1819年11月19日。昨年200周年を迎えた。創設したのは、対ナポレオン独立戦争後に復位したフェルナンド7世。絶対専制的な王政を行った中で、唯一の文化的な善政。19歳でポルトガルから嫁いだ王妃イザベル・デ・ブラガンサが懸命に独裁的な王を説得して実現させたという。だが、イザベルは開館を見ることなく1818年12月に21歳でこの世を去っている。
開館当初スペイン画派のみ3室311点だったが、今や、建物は増大し、展示作品約1700点。収蔵作品は3万5千点を超えるとされる。
名優ジェレミー・アイアンズがナビゲーターとなり、ミゲル・ファロミール館長はじめ学芸員たちが収蔵品について解説し、美術館の魅力の全貌を明かしていく。
監督のヴァレリア・パリシは、イタリア女性。本作が初長編ドキュメンタリー。

プラド美術館に収められているのは、レコンキスタ(イスラーム王朝からの国土回復)を果たしたイサベル女王が初めての1点を購入した時から、1868年に女王イサベル2世の治世が終わるまでに、王室が蒐集した作品が中心。
イサベルとフェルナンドのカトリック両王に始まる15世紀以降のスペイン近世・近現代史を、収蔵品を通じて学ぶことのできるドキュメンタリーになっています。
1936年に始まったスペイン内戦、その後のフランコ政権の時代には、美術館の収蔵品は国内外の安全な場所に疎開させています。価値ある所蔵品を守ろうとした人たちのことにも思いを馳せました。

イスラーム勢力がスペインに渡った711年から、スペイン最後のイスラーム王朝であるグラナダ王国の王が去った1492年に至る800年近いイスラーム時代の文化や美術品は、一切出てこないので、「国土回復」したカトリック王朝としては全く興味がなかったということなのかなと、ちょっと寂しい思いもしました。(咲)



2019年/イタリア・スペイン/92分/G
配給:東京テアトル、シンカ
公式サイト:http://www.prado-museum.com/
★2020年7月24日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー


posted by sakiko at 19:27| Comment(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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